セッション情報 シンポジウム3

難治性GERDの病態と治療

タイトル S3-10:

難治性GERDに対する内視鏡治療―ESDを応用した噴門形成術―

演者 竹内 利寿(大阪医科大学第二内科)
共同演者 原田 智(大阪医科大学第二内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 【はじめに】胃食道逆流症(GERD)はPPIが第1選択であるが,多くの場合,維持療法が必要であり,またPPIでも治療効果が乏しい難治性GERDも少なからず存在する.そこで,薬物治療とは別の手段として,内視鏡を用いて胃食道逆流を防止するendoluminal surgeryが欧米を中心に行われ,一定の有効性が報告されてきた.しかし,本邦では治療デバイスの供給が困難なこともあり,現在殆ど行われていない.【目的】難治性GERD患者の症状改善及びPPIの減量・中止を図ることを目的として,本邦で広く普及している内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の手技を応用した新たな内視鏡治療法(ESDG)を考案したので報告する.【方法】PPI倍量投与でも症状改善効果が乏しい症例を,難治性GERDと定義した.同意の得られた13例を対象に,ESDGを施行した.食道胃接合部の胃側粘膜を中心に約1/2周にわたりESDを施行することにより,人工的な潰瘍を作成した.その後,潰瘍が瘢痕収縮治癒する過程において食道胃接合部の狭小化を来たすことで,いわゆる噴門形成術を行った.本法による治療前後のGERD症状(FSSGスコア),PPIのdose,食道pH4未満の% holding time,および手技の安全性を評価した.なお,ESDGは施設内倫理委員会に申請の上,承認されている.【結果】(1)FSSGスコアはESDG前(23.9±7.2)に比較して,後(7.0±2.4)で有意に低下した(p<0.05).(2)約半数の6例でPPIの減量・中止が可能であった.(3)食道pH<4(%)はESDG前(8.1±3.1)に比較して,後(3.6±0.8)で減少傾向を示した.(4)ESDGによる重篤な偶発症は認められなかったが,1例で軽度通過障害が生じた.【結論】ESDの技術を応用したESDGは,難治性GERDに対するPPIとは別の視点に立った新たな治療戦略となりうる可能性が示唆された.
索引用語