セッション情報 シンポジウム4

胃癌発症とヘリコバクター感染―菌体成分の役割と慢性炎症の役割

タイトル S4-11:

マウスモデルを用いたH.pylori感染による胃幹細胞マーカー発現変化の検討

演者 芹澤 多佳子(東京大学医学部付属病院消化器内科学)
共同演者 平田 喜裕(東京大学医学部付属病院消化器内科学), 小池 和彦(東京大学医学部付属病院消化器内科学)
抄録 【目的】cagPAIが機能している菌であるHelicobacter pyloriH. pyloriPMSS1株を用いて,経時的に胃粘膜の変化と幹細胞マーカーの発現について検討した.
【方法】C57BL/6マウスにPMSS1を感染させ,感染量を定量し,H. pylori長期感染胃炎マウスの胃粘膜変化について,病理学的スコアやサイトカイン量,免疫染色によって検討した.
【結果】H. pylori感染によって,HE染色における慢性炎症や萎縮の増悪,アルシアンブルー染色における化生性変化の増悪が認められた.また炎症性サイトカインのIL-1βの上昇を認めた.細胞増殖・化生性マーカーであるPCNAやKi67,TFF2等の免疫染色の結果,発現領域の拡大が認められた.さらに幹細胞マーカーのSOX9,CD44,DCAMKL-1の免疫染色を行ったところ,細胞増殖・化生性マーカーと同様に発現領域の拡大が認められ,特にSOX9とTFF2の発現領域は一致していた.次に,IL-1RKO mouseにPMSS1を感染させ,同様に感染量を定量し,IL-1RKO mouseにおける胃粘膜変化について,病理学的スコアや免疫染色によってWT mouseと比較検討を行った.その結果,IL-1RKO mouseではWT mouseと比較して感染量は同等であったが,HE染色における病理学的スコアは低下した.また,アルシアンブルー染色における化生性変化の減弱や,免疫染色におけるSOX9陽性細胞数の減少を認めた.
【結論】cagPAI陽性H. pylori感染により,胃粘膜で幹細胞マーカーの発現が増加した.特にSOX9の発現は,化生性変化と相関している可能性が示唆された.
索引用語