セッション情報 シンポジウム5

IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

タイトル S5-1:

クローン病に対する内科治療選択とその根拠

演者 平井 郁仁(福岡大学筑紫病院消化器内科)
共同演者 松井 敏幸(福岡大学筑紫病院消化器内科)
抄録 クローン病(以下,CD)には根治療法がなく,難治例も存在するが,抗TNF-α抗体の登場によって良好な経過を示す症例も少なくない.抗TNF-α抗体への反応性が個々の症例の自然史を規定しているといっても過言ではない.したがって,CDの治療選択を考慮する際には,まず抗TNF-α抗体の適応か否かを見定める必要がある.当科では,難治化の要因すなわち若年発症,診断時病型(小腸大腸型),診断時の高活動性,高度の病変,穿孔性合併症による手術後および難治性肛門病変などのリスクを有する症例に抗TNF-α抗体を用いてきた.その結果,当科で診療されたCD902例のうち324例(35.9%)に少なくとも一度は抗TNF-α抗体(Infliximab,IFX)が用いられ,230例(25.5%)が維持投与に移行している.この230例のうち投与を継続している134例(58.3%)では長期的にも80%以上に臨床的反応(追加治療なく,社会生活可能な状態)を認めている.一方,77例(33.7%)が二次無効(Loss of response,LOR)となり,19例(8.3%)が長期的には不耐となっている.LOR症例については18例がIFX倍量投与,14例がAdalimumab(ADA)への変更,21例が他の内科治療追加,24例が外科手術となっている.不耐症例へは主にADAへの変更が行われ,75%はその後ADAでの維持治療が可能となっている.LORについては,抗TNF-α抗体に対する抗体の出現やトラフ値低下が関与していると報告されており,当科でも検討中である.手術の要因としての腸管狭窄に対しては内視鏡的バルーン拡張術が有効で,IFX投与中の腸管狭窄については高率に手術を回避できている.また,抗TNF-α抗体Na?ve症例におけるADAの治療成績も集積中であり,これらの結果も呈示予定である.現在,CDに対する内科治療の中心は抗TNF-α抗体であり,特に難治症例では抗TNF-α抗体による治療を最適化することが重要である.非難治例では他の内科治療が症例に応じて選択されている.シンポジウムでは抗TNF-α抗体以外の治療体系を含め,当科でのReal practiceにおける治療選択とその根拠について述べたい.
索引用語