セッション情報 |
シンポジウム5
IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠
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タイトル |
S5-2:インフリキシマブの早期導入と免疫調節薬の併用はクローン病の手術を減少させる
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演者 |
那須野 正尚(札幌厚生病院IBDセンター) |
共同演者 |
田中 浩紀(札幌厚生病院IBDセンター), 本谷 聡(札幌厚生病院IBDセンター) |
抄録 |
【目的】クローン病(CD)は慢性に進行し腸管合併症をきたす疾患であり,10年でおよそ50%の患者が初回手術を経験するとされる.抗TNF-α抗体製剤の登場により,寛解導入・長期寛解維持・粘膜治癒が得られることが明らかになりつつあるが,手術の減少や自然史改善に関する詳細な報告は少ない.今回我々はインフリキシマブ(IFX)により治療されたCDにおける累積手術率を検討し,手術の減少に寄与する背景因子を検索した.【方法】2002年5月から2012年8月までにIFXにより治療されたCD 355例のうち,IFXによる寛解導入後,8週毎の維持治療を1回以上施行可能であった282例を対象とした.IFX導入から手術までの累積手術率をKaplan-Meier法により検討した.さらに,累積手術率に影響する背景因子を単変量解析にて検討した.【結果】患者背景は,男性208例・女性74例,平均年齢31.2歳,平均罹病期間7.5年,小腸型70例・小腸大腸型157例・大腸型55例,平均観察期間3.9年であった.累積手術率は3年10%,5年15%,7年19%であり,手術までの平均期間は2.7年であった.累積手術率に影響する背景因子の検討では,罹病期間2年以内(5年累積手術率1% v.s. 21%,p<0.01),免疫調節薬併用(5年累積手術率11% v.s. 25%,p=0.035),IFX投与後14週時のCRP値<0.3mg/dl(5年累積手術率10% v.s. 26%,p<0.01)における累積手術率が有意に低値であった.病型,性別,手術歴,年齢,IFX導入時のCRP値においては有意差を認めなかった.【結語】IFXにより治療されたCDにおける累積手術率は既報よりも良好な傾向にあり,IFXはCDの自然史に改善をもたらした可能性が示唆された.IFXの早期導入と免疫調節薬の併用により手術はさらに減少し,その効果は14週時のCRP改善により予測可能であった.さらなる長期間の観察と検討により,IFXのCD自然史への影響が明らかにされる必要がある. |
索引用語 |
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