セッション情報 シンポジウム5

IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠

タイトル S5-4:

活動性クローン病治療における抗TNF-α抗体製剤インフリキシマブからアダリムマブへの変更のタイミングについての検討

演者 竹内 健(東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科)
共同演者 山田 哲弘(東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科), 鈴木 康夫(東邦大学医療センター佐倉病院消化器内科)
抄録 【背景・目的】現在,本邦ではクローン病(CD)の治療にキメラ型モノクローナル抗体であるインフリキシマブ(レミケード?;IFX)と完全ヒト型であるアダリムマブ(ヒュミラ?;ADA)の2種類の抗TNF-α抗体製剤が使用可能である.IFX維持投与における効果減弱例に対してIFXの増量前にADAへ変更した場合と,増量後に変更が行われた場合の長期間の有効性について評価し,変更の“タイミング”について検討した.【対象・方法】当科において,2010年11月~2012年9月までに抗TNF-α抗体製剤が投与された活動性CD病患者を対象とし,抗TNF-α抗体製剤の使用歴がないバイオ・ナイーブ群,IFX 5mg/kgBWよりADAへ変更となった5mg/kg群,またIFX 10mg/kgBWへの増量あるいは投与間隔を6週間以下に短縮した増量群に分類し,ADA投与開始後52週までの臨床活動性指標(CDAI),CRPおよびADAの投与継続率について検討した.【結果】60人の活動性CD病患者(CDAI:216±96,CRP:2.09±2.17(mean±SD))のうち,15人がバイオ・ナイーブ例であり,45例がIFXからADAへの変更群だった.バイオ・ナイーブ群12人と変更群24人が52週までの観察が可能だった.ADAの治療を52週間継続できたのは,5mg/kg群の15人中11人(73%)に対して,増量群では28人中11人(39%)だった(P=0.033).さらに,ADA治療開始後52週の時点でのCDAIは,バイオ・ナイーブ群ではADAへの変更群よりも有意に低かった.同様に,52週の時点でのCDAIとCRPともに5mg/kg群で増量群よりも有意に低かった(CDAI:P=0.02,CRP:P=0.006).【結論】早期のADAへの変更は活動性CD病患者に対するIFXの効果減弱を予防する可能性がある.
索引用語