セッション情報 |
シンポジウム5
IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠
|
タイトル |
S5-6:難治性潰瘍性大腸炎(UC)における内科治療の有効性と手術例の予後の検討
|
演者 |
齊藤 詠子(東京医科歯科大学消化器内科) |
共同演者 |
長堀 正和(東京医科歯科大学消化器内科), 渡辺 守(東京医科歯科大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】難治性UCにおける内科治療の有効性と外科治療の適切な選択のための因子を明らかにする.【方法】2010年4月~2013年8月まで当院にて入院加療を要したUC120例(男性72例,女性48例)を対象に1.rescue therapyとしてのカルシニューリン阻害薬(Tac/CyA)及びインフリキシマブ(IFX)の選択に関する背景因子及び治療成績の比較,2.手術例での背景因子,手術時期及び術後予後について検討した.背景因子として年齢,性別,臨床的重症度,Lichtiger index(LI),Rachmilewits score(RI),CRP,ステロイド依存性/抵抗性,免疫調節薬の有無等を検討した.3.Tac/CyA症例では,粘膜治癒(MH)群と非MH群の累積非再燃率を比較した.【結果】1.Rescue therapyとしてのTac/CyAおよびIFXの患者背景は,前者でLIが高かった[13±3 vs 11±3(p=0.016)].両群の有効率に差はなく[65%(38/59)vs 46%(12/26)(p=0.115)],最終内科治療(Tac/CyAまたはIFX)別累積非手術率[65% vs 49%(p=0.202)]および累積非再燃率[26% vs 45%(p=0.713)]にも差はみられなかった.2.手術例は非手術例と比べ,重症例が多く[76%(19/25)vs 34%(32/95)(p<0.05)],LIも高かった[14±3 vs 12±3(p<0.05)].Rescue therapy不応例の22/25(88%)で2nd rescueが行われ,非手術率はTac/CyA8/11(73%),IFX4/11(36%)だった.手術症例の25例のうち,術後合併症は14例(56%)で,再手術は2例だったが,死亡はなかった.3.Tac/CyA症例の累積非再燃率はMH群と非MH群で差がなかった[55% vs 34%(p=0.286)].【結論】2つのrescue therapy間の選択及び有効性には明らかな差は認められなかった.Tac/CyA症例は有効率,累積非手術率ともIFXより高かったが,累積再燃率は少なくなく,2剤を選択する際に考慮する必要があると考えられた.特にMH群と非MH群との比較では累積非再燃率に差がなく,今後維持療法も検討が必要と考えられた. |
索引用語 |
|