セッション情報 |
シンポジウム5
IBDの治療;Real practiceにおける選択とその根拠
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タイトル |
S5-8:難治性潰瘍性大腸炎に対する治療戦略および粘膜治癒の意義
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演者 |
長沼 誠(慶應義塾大学医学部内視鏡センター) |
共同演者 |
細江 直樹(慶應義塾大学医学部内視鏡センター), 緒方 晴彦(慶應義塾大学医学部内視鏡センター) |
抄録 |
【目的】難治性潰瘍性大腸炎(UC)に対する治療法としてタクロリムス(Tac)およびインフリキシマブ(IFX)の有用性が報告されているが,両者の使い分けに関する研究は多くない.また潰瘍性大腸炎の内視鏡活動度と長期予後との関連について多くの症例を解析した研究は多くない.今回我々は1)UCに対するTac,IFXの治療成績,粘膜治癒率およびその予後,2)臨床的寛解例における内視鏡的活動度と長期予後の関係について検討した.【方法】study1:難治性UCに対してTacを用いた48例,IFXを用いた51例の3か月後の有効率(Lichtiger idex4以上低下),2年後の非再燃率(治療未変更例,非入院例),粘膜治癒率(Mayoの0,1)について検討し,さらに粘膜治癒率と長期予後との関連について検討した.Study2:2007-08年に内視鏡施行した823例中,内視鏡時に臨床的寛解(Lichtiger 4以下)であった265例の内視鏡活動度と長期予後との関係について検討した.【成績】1)Tac,IFXの有効率は治療開始3か月後Tac67%,IFX51%,2年後Tac48%,IFX46%であり両薬剤間で差は認められなかった.両治療とも治療後3か月での粘膜治癒例は非治癒例に比して再燃率が有意に少なかった.2)内視鏡施行時に臨床的寛解であった265例中,その後臨床的再燃は45例,寛解維持は220例であった.寛解維持療法の71%は5-ASA製剤であったが,内視鏡的粘膜治癒例のうち2年間の臨床的非再燃例はMayo0(完全寛解)では88%,1(軽度活動度)では72%であり,内視鏡的完全寛解が長期予後に寄与することが示唆された.【結語】TacとIFXの治療成績は同等であり,特に粘膜治癒を達成した症例の長期予後は良好であった.5ASA製剤を中心に寛解維持されている例では内視鏡的完全寛解を達成することが長期予後に重要であると考えられた.現在我々は組織レベルまで観察可能なエンドサイトおよび大腸カプセル内視鏡による大腸粘膜の観察を行ない,新規デバイスにおける内視鏡所見と長期予後について前向きに検討しており,その結果も発表予定である. |
索引用語 |
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