セッション情報 シンポジウム6

難治性C型肝炎治療の展望

タイトル S6-1:

C型慢性肝炎に対する2剤および3剤併用治療の難治要因と対策

演者 髭 修平(札幌厚生病院第三消化器内科)
共同演者 狩野 吉康(札幌厚生病院第三消化器内科), 豊田 成司(札幌厚生病院第三消化器内科)
抄録 【目的】1型高ウイルス量C型肝炎に対するPEG-IFN(PEG),リバビリン(RBV),telaprevir(TVR)あるいはsimeprevir(SMV)の3剤併用療法における難治要因を,PEG-IFN,RBVの2剤併用時の難治要因と比較して特徴を明らかにし,3剤併用例への延長投与の意義を検討する.【方法】治療効果判定可能,かつ,延長治療未施行の3剤治療例103例(うちTVR77例,SMV26例)と,2剤治療例280例の計383例を対象とし,非SVRに関する治療開始前要因を比較検討する.上記以外の12例に3剤併用療法後PEG+RBV2剤の追加投与(24週間,2例は12週間)を実施.延長症例中,IL28B TG/GG7例,aa70またはaa91変異9例,前治療無効4例,非RVR例6例が含まれた.【結果】SVRは,2剤群154例(55.0%),3剤群81例(TVR77.9%,SMV84.6%),3剤の治療完遂88例でのSVRは79例(89.8%)であった.非SVRの要因に関し,2剤併用群では,単変量で,IL28B,LDL-C,aa70変異,HCV-RNA量,IRI,Alb,年齢,肝線維化,γGTP,血小板数に有意な差を認め,多重ロジスティック回帰分析で,IL28B(TG/GG),aa70変異(non-wild),HCV-RNA(>6.0 logIU/ml)が有意な要因であった.(odds比;0.12,0.35,0.13)3剤併用群では,単変量で,前治療歴(p<0.01),肝線維化(p=0.01),IL28B(p=0.02),AFP(p=0.02),aa91変異(p=0.03),身長(p=0.04)が抽出され,多変量では肝線維化(F3以上)が有意な要因となり(odds比;0.17),治療開始後の要因を含めた場合は非RVRが抽出された.(odds比;0.18)延長治療例では12例全例がSVR12以上となり,IL28B non-TT/core70 non-wild/前治療無効の3要因の2つ以上を有する5例も全例SVRを得た.HCV RNA陰性化後の治療期間は平均42.1週であった.【結論】3剤併用の治療効果向上により,3剤併用群の難治要因は2剤併用時とは異なった.症例を選択したPEG+RBV2剤の延長投与は3剤治療時のSVR向上に有用であると考えられた.
索引用語