セッション情報 シンポジウム6

難治性C型肝炎治療の展望

タイトル S6-2:

血清IFN-λ3を用いたPeg-IFN/RBV治療効果予測

演者 青木 孝彦(国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター)
共同演者 村田 一素(国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター), 溝上 雅史(国立国際医療研究センター肝炎・免疫研究センター)
抄録 【目的】IL28B近傍遺伝子多型は,Peg-IFN/RBV療法の治療効果予測における有意な宿主因子であるが,約20%の症例で効果予測を誤る.また,遺伝子解析は煩雑で,かつ高額であるためアジアを中心とした諸外国における普及には問題を含んでいる.最近,我々は市販のアッセイ系よりも感度良好で,かつIL28B major,minor allele双方からのIFN-λ3を同程度に識別できるアッセイ系を開発した.そこで,同系を用いて,治療前血清IFN-λ3値によるPeg-IFN/RBVの治療効果予測につき検討した.【対象と方法】C型慢性肝炎患者(genotype 1b,高ウイルス量)で48週間のPeg-IFN/RBV療法を終了し,治療効果判定が可能であった219例のうち,Peg-IFN,RBVともに80%以上のadherenceが達成できた150例を対象とした.治療前凍結保存血清中のIFN-λ3,interferon gamma inducible protein(IP)-10を測定し,治療効果(virological response:VR)につき,患者背景因子を含め検討した.【成績】血清IFN-λ3およびIP-10値は,IL28B遺伝子多型(rs8099917,TT vs non-TT)間で有意差はなかったが,VR例で有意に低値を示した.Receiver operating characteristic(ROC)解析を用いてVRに関するIFN-λ3のcutoff値を設定すると16.0 pg/mlであった.興味深いことにIFN-λ3がそれ以下を示した場合,IL28B遺伝子多型に関わらずVRを高率(98.1%)に認めた.一方,高IFN-λ3を示した症例のうちnon-TTでは全例がnon-VRを示した.また,高IFN-λ3を示す症例では,IFN-λ3の値だけでは効果予測は困難であったが,多変量解析による高IFN-λ3症例におけるVR規定因子は低HCV RNA量であった.さらにVRに関してデータマイニング解析を行ったところ,VRを規定する因子としてIFN-λ3,IL28B,HCV RNAの順で抽出され,上記結果が確認された.また,プロテアーゼ阻害剤を用いた3剤併用療法にても同様の結果を得ており,現在検討中である.【結論】血清IFN-λ3は,C型慢性肝炎に対するPeg-IFN/RBV治療効果予測として有用と考えられた.
索引用語