セッション情報 |
シンポジウム6
難治性C型肝炎治療の展望
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タイトル |
S6-4:C型慢性肝炎におけるPeg-IFN/RBV療法の治療効果と宿主因子の検討
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演者 |
梅村 武司(信州大学消化器内科) |
共同演者 |
野沢 祐一(信州大学消化器内科), 田中 榮司(信州大学消化器内科) |
抄録 |
【目的】NK細胞の機能は細胞表面の活性型/抑制型NKレセプターのシグナルバランスによって調整されている.そのレセプターのひとつがkiller cell immunoglobulin-like receptor(KIR)である.KIRの遺伝子多型とC型慢性肝炎の治療効果との関連について本邦からの報告はない.今回C型慢性肝炎でPeg-IFN/RBV療法施行群でKIRとそのリガンドであるHLA多型をタイピングし,ウイルス排除に及ぼす影響について検討した.【方法】当院および関連施設にてPeg-IFN/RBV 48週療法を受けたgenotype1型C型慢性肝炎115例(年齢:60歳[24-80],M/F=66/49)を対象とした.16種類のKIR遺伝子多型およびHLA-B,-C座タイピングはLuminex法で行い,IL28B SNP(rs8099917)も測定し,SVRに寄与する因子の解析を行った.【成績】SVRは56例(49%)であった.KIR2DL2(P=0.015,OR=0.30),KIR2DS2(P=0.025,OR=0.32)はnon-SVR群で有意に高率であった.HLA-Bw4はSVRと有意に関連がある(P=0.017,OR=2.50)が,HLA-Cは有意な差は認めなかった.KIR3DL1/HLA-Bw4保有者はSVR(P=0.03,OR=2.29),KIR2DL2/HLA-C1保有者はnon-SVR(P=0.015,OR=0.30)と有意に関連を認めた.多変量解析ではIL28Bメジャーアリル(P=0.00009,OR=6.44),KIR3DL1/HLA-Bw4(P=0.008,OR=2.93),KIR2DL2/HLA-C1(P=0.014,OR=0.14)が治療効果に寄与する因子であった.著効率に関してIL28B SNPとKIR3DL1/HLA-Bw4,KIR2DL2/HLA-C1についてそれぞれ層別解析すると有意な関連(P=0.0023,P=0.001)を認めた.特にIL28B SNPマイナーアリル,KIR2DL2/HLA-C1を保有しない8例はSVR 0%でありIFN難治例である事が判明した.【結語】本邦におけるC型慢性肝炎のPeg-IFN/RBV療法の治療効果と宿主因子の検討ではKIR3DL1/HLA-Bw4は著効に,KIR2DL2/-HLA-C1は治療抵抗と関連を認め,IL28B SNPと組み合わせることにより治療効果予測が向上する可能性がある.現在Telaprevirを含めた3剤療法の患者でも同様の傾向がみられるか確認中である. |
索引用語 |
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