セッション情報 シンポジウム6

難治性C型肝炎治療の展望

タイトル S6-8:

TVR/Peg-IFN/RBV併用療法におけるTVR投与量が与える治療効果ならびに副作用へのインパクト

演者 平松 直樹(大阪大学消化器内科学)
共同演者 林 紀夫(関西労災病院), 竹原 徹郎(大阪大学消化器内科学)
抄録 第2世代Protease阻害剤であるSimeprevir(SMV)とPeg-IFN/RBVの併用療法の臨床試験では,Peg-IFN/RBV併用に比しより高い有効性が示され,Telaprevir(TVR)/Peg-IFN/RBV併用に比し副作用の少ない治療法として期待されている.一方,TVR/Peg-IFN/RBV併用療法では,高い有効性を認めるものの安全性が問題となっているが,TVR減量投与により副作用が軽減することが報告されている.今回,多施設共同研究においてTVR/Peg-IFN/RBV併用療法を施行したGenotype1型C型肝炎166例(男/女:85/81,年齢:60.3±8.8歳,初回/再燃/無効:59/73/29,TVR開始量2250mg/1500mg:83/83)を対象として,TVR投与量と抗ウイルス効果ならびに副作用との関連について検討した.全症例におけるSVR12は82%であった(ITT解析).SVRに関する多変量解析では,IFN治療歴,TVR平均投与量(mg/kg/day),Peg-IFN/RBV完遂の有無が有意な因子であった.IFN治療歴別のSVR(ITT解析)は,初回治療83%(45/54),前治療再燃88%(64/73),前治療無効62%(18/29)であった.また,治療完遂例におけるTVR投与量別SVRは25mg/kg/day未満で低率であった(<25,67%(26/39),25≦<35,93%(54/58),≧35,95%(20/21)).TVR中止は26%に認めたが,TVR中止因子の多変量解析による検討では,高齢(≧65歳,Risk ratio 2.3,p=0.03),TVR高用量群(≧35 mg/kg/day,Risk ratio 3.9,p=0.01)で中止率が高かった.副作用中止例を含む全症例におけるSVR(ITT解析)は,TVR平均投与量25-35mg/kg/dayで最も高率であった(<25,71%(35/49),25≦<35,91%(68/75),≧35,78%(28/36)).また,治療歴別のSVR率は,順に初回治療76%/96%/67%,前治療再燃82%/94%/84%,前治療無効33%/73%(11/15)/80%(4/5)であった.以上より,TVR/Peg-IFN/RBV併用療法では,25mg/kg/day未満の低用量では治療効果が低下し,25-35mg/kg/dayが至適投与量であると考えられた.本シンポジウムではSMV3剤併用療法の治療効果と副作用についての中間報告も併せて報告したい.
索引用語