セッション情報 シンポジウム6

難治性C型肝炎治療の展望

タイトル S6-9:

前治療無効例に対するテラプレビル併用3剤療法48週延長投与に関する検討

演者 島上 哲朗(金沢大学消化器内科)
共同演者 本多 政夫(金沢大学消化器内科), 金子 周一(金沢大学消化器内科)
抄録 【背景】C型慢性肝炎に対するテラプレビル併用3剤療法の難治性因子として,ペグインターフェロン(PEG-IFN)/リバビリン(RBV)による前治療無効が報告されており,今回前治療無効例に対する3剤療法の治療効果に関し検討した.【方法】当院及び関連施設では,IL28B genotype,前治療効果による治療効果予測と至適治療期間の検討を行うため,2011年1月より倫理委員会の承認を得て臨床試験を開始した.IL28B major/前治療再燃は,テラプレビル12週PEG-IFN/RBV24週(T12PR24),L28B minor/前治療無効は,T12PR48,IL28B major/前治療無効およびIL28B minor/前治療再燃はT12PR24とT12PR48への無作為割り付けを行った.この臨床試験の結果を用い,今回前治療無効群と再燃群の抗ウイルス効果の比較を行った.【結果】2013年8月までに前治療無効31例,再燃65例が本臨床試験に登録された.無効群のうち5例(いずれもIL28B major)がT12PR24,21例(IL28B major 3例,minor 18例)がT12PR48へ,また再燃群のうち57例(IL28B major 48例,minor 9例)がT12PR24,7例(いずれもIL28B minor)がT12PR48に割り付けられた.無効群ではRVR 67%,EVR 88%,24週時陰性化率68%,48週陰性化率9/9,breakthrough7例(23%)であった.再燃群ではRVR 87%,EVR 94%,24週時陰性化率95%,48週陰性化率3/3,breakthrough3例(5%)であった.無効群は再燃群に比べ有意にRVR率が低く,breakthrough率が高かった.無効群のうちT12PR48投与を受け,48週時HCV RNA陰性であった9例中1例に再燃を認め,8例はSVR12を達成した.再燃群のうちT12PR24投与をうけ24週時HCV RNA陰性であった39例中1例に再燃を認め,38例はSVR24を達成した.【考察】無効例におけるT12PR24の国内第3相臨床治験・市販後調査での再燃率は50-60%と報告されている.今回の検討から無効例でbreakthroughを認めずT12PR48投与を施行しえた症例に関しては,再燃が抑制される可能性が示唆され,48週延長投与は無効例に対する有力な治療選択肢になりうると考えられた.
索引用語