セッション情報 | シンポジウム7早期肝臓癌画像診断の到達点と治療選択 |
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タイトル | S7-4:EOB-MRIによる早期肝細胞癌診断の限界点―移植摘出肝を用いて― |
演者 | 日高 匡章(長崎大学移植・消化器外科) |
共同演者 | 高槻 光寿(長崎大学移植・消化器外科), 江口 晋(長崎大学移植・消化器外科) |
抄録 | 【背景と目的】早期肝細胞癌(HCC)診断は,EOB-MRIの登場により正確な診断が可能となってきているが,EOB-MRIでも検出困難なHCCも存在する.今回,硬変肝におけるHCCに対するEOB-MRIの検出能と,EOB-MRIで検出できないHCCの特徴を明らかとする. 【対象と方法】2012年までに当科で施行した生体肝移植174例中,HCC70症例で術前MD-CT,EOB-MRIを撮影している20症例を対象とした.肝移植時摘出した肝臓を5-7mm厚で全割を施行した.検討1:術前画像によるHCC検出能を病理学的に検討した.検討2:術前画像にて指摘できず摘出肝で新たに検出されたHCCにおける胆汁酸トランスポーター(OATP2/8)発現を免疫染色にて検討した. 【結果】患者背景はHCV 13例,HBV 5例,NBNC2例,年齢60.5歳(以下中央値,48-72),術前Child-Pugh score 9点(6-13),MELD 13点(7-29),AFP 9.6 ng/ml(3.2-506.3),PIVKA-II 38 mAU/ml(10-80)であった.検討1:画像にて指摘された結節は27結節,全肝検索にて新たに16結節のHCC(37%)を認めた.MD-CTにて検出された22結節は腫瘍径1.5 cm(0.7-4.2)で,全てEOB-MRIでも検出された.EOB-MRIでのみ検出された病変は5結節でいずれも腫瘍径10mm以下,高分化であった.正診率はMD-CT 51.1%(22/43),EOB-MRI 62.7%(27/43)でEOB-MRIの検出能が高かった.EOB-MRIで検出不能なHCCは腫瘍径中央値8.0mm(2-12),高分化10結節であった.また,新たに検出されたHCCは主腫瘍から離れた区域に49%存在していた.検討2:画像で検出できないHCC11結節のOATP発現を検討すると,腫瘍部では陰性:9結節(82%),弱陽性:2結節(18%)であった. 【結語】末期硬変肝におけるEOB-MRIによるHCC検出能はMD-CTより高かった.硬変肝では1cm以下のHCCはOATP発現が低下していてもEOB-MRIによる検出限界と思われた.主腫瘍以外の区域にも潜在的HCCが存在するため,硬変肝では多中心性発生に留意した治療法の選択が必要となる. |
索引用語 |