セッション情報 シンポジウム7

早期肝臓癌画像診断の到達点と治療選択

タイトル S7-5:

EOB-MRIで乏血性腫瘍と診断された結節への造影超音波の役割

演者 青木 智子(兵庫医科大学肝胆膵内科)
共同演者 飯島 尋子(兵庫医科大学超音波センター), 西口 修平(兵庫医科大学肝胆膵内科)
抄録 【目的】造影超音波検査(以下CEUS)で早期肝癌の診断は困難とされているが,CEUSは血行動態をreal timeに観察できる利点がある.CEUSを用いた早期診断の有用性と限界について検討した.【方法】2007/1~CEUSを施行し加療を行ったHCC372例(男242,平均年齢68.4歳),682結節(組織学的診断有:251結節)を対象とした.(1)EOB-MRI/dynamic CT/CEUSを同時期に施行した186結節を用いて多血診断能を検討した.(2)EOB-MRI/CEUSを同時期に施行した288例を用いて,EOB-MRIで乏血性と診断された腫瘍におけるCEUSの役割について検討した.尚,CEUSのKupffer相は低音圧(PM法/AM法)及び高音圧(ADF)で観察した.【結果】(1)EOB-MRI/dynamic CT/CEUSによる診断では,多血性腫瘍149/144/146,乏血性腫瘍36/37/32,not detected(ND)1/5/8であった.MRIで乏血性と診断した36結節中CEUSで18結節(50%),CTで10結節(28%)が多血と診断された.(2)288結節中,EOB-MRIでは多血性腫瘍222結節,乏血性腫瘍65結節,ND1結節であった.乏血性腫瘍65結節中EOB-MRI肝細胞相で低信号の55結節,等信号の7結節(合計62結節)についてCEUSを施行すると,40結節(65%)で早期濃染又はKupffer相欠損像を認めた.内訳は24結節で早期濃染かつKupffer相欠損像を呈し,5結節で早期濃染像のみ,11結節でKupffer相欠損像のみを認めた.Kupffer相で欠損像を呈さない27結節中8結節で門脈血流低下を認め,合計48結節(77%)がCEUSで早期肝癌と診断可能であった.【考察】EOB-MRIで乏血性腫瘍と診断された場合でも,CEUSで多血性腫瘍と診断でき,門脈血流の低下やKupffer細胞の欠損を指摘することが可能な症例も存在した.しかし,すべての施設で門脈血流の低下が判定できるわけではなく,診断技術の普及が課題と考えている.【結語】EOB-MRIで乏血性と診断された腫瘍においてCEUSは診断の一助を担う可能性が示された.
索引用語