セッション情報 シンポジウム7

早期肝臓癌画像診断の到達点と治療選択

タイトル S7-6:

EOB-MRIとSonazoid造影USによる早期肝細胞癌の診断と治療選択

演者 今井 康陽(市立池田病院消化器内科)
共同演者 村上 卓道(近畿大学医学部放射線診断学), 熊田 卓(大垣市民病院消化器内科)
抄録 【目的】EOB-MRIとSonazoid造影US(CEUS)を用いた早期肝細胞癌の診断と治療時期について考察した.【方法】1)手術,肝生検で組織学的に診断したdysplastic nodule(DN)9結節,早期HCC37結節(乏血性高分化型HCCは早期HCCとした),古典的多血性HCC40結節(高分化型9,中低分化型31)においてEOB-MRI肝細胞相,CEUS Kupffer相(高MI照射にて評価),DWI,T2WI,T1WI(in/opposed-phase)の画像所見を比較した.2)EOB-MRI肝細胞相で低信号を示す乏血性結節で,多血化する以前に2回以上EOB-MRIで経過を終えた多血化結節45結節を対象として,多血化前後の腫瘍径,腫瘍容積倍加時間(tumor volume doubling time;TVDT)について検討した.【結果】1)EOB-MRI肝細胞相ではDN33%,早期HCC95%が低信号,古典的HCCの93%が低信号,7%が高信号を示した.CEUS Kupffer相はDN100%,早期HCC89%が等エコー,古典的HCCの95%がdefectを示した.DWIではDN100%,早期HCC95%が等信号,古典的HCCの85%が高信号を示した.T1WIでの脂肪含有はDN22%,早期HCC24%,古典的HCCの8%に認められた.T2WIではDN0%,早期HCC24%,古典的HCC78%が高信号を示した.2)EOB-MRI肝細胞相で低信号を示した乏血性結節45結節の初回腫瘍径は中央値7mm(3-34mm)で,多血化時の腫瘍径は中央値12mm(6-37mm,39結節が20mm以下)であった.また45結節中44結節が多血化するまでの間に増大を示し,低信号化する傾向が認められた.TVDTの中央値は187日であった.【結論および考察】早期HCCの多くがEOB-MRI肝細胞相低信号,CEUS Kupffer相等エコー,DWI等信号所見を示した.またEOB-MRI肝細胞相で低信号を示す乏血性結節のほとんどが多血化へと進展する過程で増大した.以上より,EOB-MRI dynamic studyと造影USを組み合わせることにより,早期肝細胞癌の診断は高い確率で可能であり,腫瘍径の経過を追うことにより多血化の予測も可能で,多血化あるいは腫瘍径を勘案して治療時期を決定すべきであると考えられた.
索引用語