セッション情報 シンポジウム7

早期肝臓癌画像診断の到達点と治療選択

タイトル S7-7:

EOB-MRIおよびSonazoid造影超音波による早期肝細胞癌の治療適応判断~多血化リスクの高い肝細胞癌を早期に治療するために~

演者 土谷 薫(武蔵野赤十字病院消化器科)
共同演者 安井 豊(武蔵野赤十字病院消化器科), 泉 並木(武蔵野赤十字病院消化器科)
抄録 【目的】早期肝細胞癌切除例でのsurvival benefitは1.3ヶ月と報告されている(J Hepatol, 2013).一方非多血性・肝細胞相低信号結節の多血化率は16-43%/年,多血化危険因子は拡散強調像(DWI)高信号・T2強調高信号・腫瘍径・脂肪化が挙げられている.今回早期肝細胞癌を含む非多血性結節の画像・病理学的所見を検討し治療適応を考察した.
【方法】2008年3月から2013年8月まで当院でEOB-MRI・Sonazoid造影超音波(CEUS)・腫瘍生検を施行した219例中EOB動脈優位相非多血性64結節を対象とした.CEUS Kupffer相は低音圧等エコーの場合は高音圧ドプラ法で評価した.
【成績】平均年齢70歳,平均腫瘍径17mm,男性43例・女性21例,背景肝HCV49例・HBV7例・NBNC8例,病理所見は早期肝細胞癌9例(14.1%),高分化型35例(54.7%),中分化型15例(23.4%),低分化型3例(4.7%),非悪性2例(3.1%)であった.中低分化型肝細胞癌は肝細胞相低信号94.4%・Kupffer相低エコー88.9%であり,75%がDWI高信号であった.早期肝細胞癌は全例が肝細胞相低信号,CEUS血管相は全例動脈血流なし,Kupffer相低エコーは66.7%であり,DWI高信号は1結節のみであった.早期肝細胞癌Kupffer相は低音圧で低エコー44.4%,低音圧等エコー5結節中2結節が高音圧ドプラ法で低エコーとなった.高音圧ドプラ法で低エコーとなる早期肝細胞癌は脂肪化を伴いBモード像高エコーであった.Kupffer相等エコーである早期肝細胞癌は全例T2強調像低信号・DWI等信号であった.
【結論】Sonazoid造影超音波Kupffer相所見(高音圧ドプラ法含む)は多血化危険因子を反映しており,早期肝細胞癌の治療適応判断に有用である.
索引用語