セッション情報 シンポジウム7

早期肝臓癌画像診断の到達点と治療選択

タイトル S7-9:

Gd-EOB-DTPA造影MRI低信号結節における動注CTの診断意義

演者 荒井 邦明(金沢大学消化器内科)
共同演者 山下 竜也(金沢大学消化器内科), 金子 周一(金沢大学消化器内科)
抄録 【目的】Gd-EOB-DTPA造影剤を用いたMRI(EOB-MRI)は早期肝細胞癌を含む乏血性肝腫瘍の検出,診断にも有用とされる.但し乏血性とEOB-MRIで診断した結節の一部には,CT-HAなど他の画像診断にて多血成分が検出される場合もあり,この多血成分の検出は治療対象結節を決定する上で重要な所見のひとつになると考えられる.今回dynamic CT(CECT),EOB-MRI,動注CT(CT-HA/AP)による画像所見を比較し,EOB-MRI肝細胞相低信号結節における動注CTの有用性を主に検討した.【方法】2009年1月から2013年1月の間に当院でCECT,EOB-MRI,動注CT全てを2ヶ月以内に施行し,少なくとも1結節以上の典型的多血性肝細胞癌が検出された327症例を対象とした.肝細胞癌が10結節以上,肝細胞癌以外の肝腫瘍の症例,ならびに血流障害や肝外供血など動注CTでの解析困難例は解析対象から除外した.【結果】対象症例の背景因子は,男性/女性 221/106例,年齢中央値69歳(37-89歳),初発/再発 239/88例,HBs抗原陽性47例,HCV抗体陽性145例であった.CECT,EOB-MRIで典型的多血性肝細胞癌と診断した結節数と,動注CTでの典型的多血性肝細胞癌結節数が一致をみたのはそれぞれ238症例(72.8%),262例(80.1%)であった.30例(9.2%)の症例において,EOB-MRIでは肝細胞相低信号の乏血性結節と診断した結節内にCT-HAにて多血成分を検出することができた.この多血成分はCECTでは5例(1.5%)しか検出することができなかった.CT-HAを用いて多血成分が新たに検出された結節の腫瘍径は平均12.1mm(3-28mm)であり,10mm以下の結節が54.1%をしめた.【結論】約1割の肝癌症例において,EOB-MRIで乏血性の肝細胞相低信号結節と診断した結節中に多血成分をCT-HAにて検出することができたことから,肝切除や経皮的治療を行う際など,精密なステージングが必要とされ,治療対象結節を厳格に同定することが求められる場合には,動注CTの併用が一定の役割を果たすものと考えられた.
索引用語