セッション情報 シンポジウム7

早期肝臓癌画像診断の到達点と治療選択

タイトル S7-12:

乏血性肝癌のラジオ波焼灼療法のタイミング

演者 黒松 亮子(久留米大学医学部消化器内科)
共同演者 住江 修治(久留米大学医学部消化器内科), 佐田 通夫(久留米大学医学部消化器内科)
抄録 【目的】背景肝病変を伴うこと,多中心性発癌をすることを考えると,乏血性の早期肝癌をすべて治療することが予後の改善につながるとは限らない.そこで,予後改善をみすえた乏血性肝癌のラジオ波焼灼療法のタイミングを検討した.【方法】2002/1-2012/12に経皮的ラジオ波焼灼療法(PRFA)が施行された501例のうち2cm以下3個以下,Child-Pugh A,Bの肝癌286例を対象とし,乏血癌の臨床的特徴,局所再発や予後に関わる因子を多血癌と比較した.尚,多血/乏血の評価はdynamic CTまたはEOB-MRIで行い,乏血癌はすべて腫瘍生検にて診断した.【成績】286例中乏血/多血癌62/224例であった.乏血癌,多血癌において高/高-中/中-低分化型は49/9/4例,58/42/56(生検なし68)例,単発/多発は42/20例,167/57例,DCP40mAU/ml以下/超は57/5例,167/57例と,乏血癌で高分化が多く(p<0.0001),多血癌でも高分化癌が26%含まれ,DCPが高値であった(p=0.0008).また,APRI 2以下/超は29/33例,140/84例と,乏血癌で肝硬変例が多かった(p=0.0258).乏血/多血癌の5年生存率は75/66%,3年再発率は61/60%と有意差はなかったが,局所再発率は5%,11%と多血癌で高い傾向が認められた.多血癌では,生存因子としてAFP20ng/ml超(p=0.006),DCP40mAU/ml超(p=0.0001),Child-Pugh B(p=0.0001)に加え,局所再発(P=0.0606)も傾向が認められた.多血癌の局所再発因子は,腫瘍径15mm超(p=0.0289),血管近接結節(p=0.0128)であった.多血の高分化癌57例に限定した検討でも,局所再発は生存因子として重要であった(p=0.01).一方,乏血癌における生存因子は,Child-Pugh B(p=0.0027),血小板数10万以下(p=0.0117),多発(p=0.0024)で局所再発は無関係であった.乏血癌のうち造影超音波検査が施行された29例中6例において,vascular相にて染影が認められKupffer相はisoであり,局所再発は認められなかった.【結語】腫瘍径2cm以下の乏血癌では,造影超音波検査を定期的に行い,早期相にて染影が認められたら,PRFAを施行すべきと考える.
索引用語