セッション情報 |
シンポジウム8
生活習慣病と消化器疾患・病態生理学の新たな展開
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タイトル |
S8-16:Duodenal-jejunal bypassはmicrobiotaの変化・GLP-1分泌の亢進を介して糖尿病・NASHを改善する
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演者 |
柏原 秀也(徳島大学消化器・移植外科学) |
共同演者 |
江藤 祥平(徳島大学消化器・移植外科学), 島田 光生(徳島大学消化器・移植外科学) |
抄録 |
【背景】これまでにSD ratを用いてDuodenal-Jejunal bypass(DJB)の糖尿病改善効果は回腸の胆汁酸吸収増加がL細胞を増加させGLP-1分泌を上昇させることによると発表してきた.近年ではGLP-1がNASH改善効果を有するとの報告や腸内細菌叢microbiotaがGLP-1分泌,NASH改善に寄与しているとの報告がある.今回DJBがmicrobiotaを変化させ,胆汁酸吸収増加によりGLP-1分泌増加・NASH改善効果を有しており,Liraglutideによる治療を凌駕し得るという興味ある知見を得たので報告する.【方法】OLETF ratをDJB群(D群n=4),開腹のみのSham群(S群n=4),GLP-1アナログ製剤Liraglutide投与群(L群n=4)に分け,術後8週でOGTTを施行,全血・小腸・肝臓・糞便を採取し,各群の小腸・大腸におけるGLP-1分泌細胞(L cell)を免疫染色にてcount.3群間で肝NASH grading/staging,microbiotaを比較.【結果】体重増加抑制効果はD>L>Sであった.D・L群におけるOGTT30,60,120分の血糖はS群と比較し有意に低値であり,insulin抵抗性の改善を認めた(D,L群はn.s.).D群の胆汁酸は他2群に比し高値を示しており,GLP-1(15,30分)も高値を示していた.D群の回腸L cell数は他2群と比較し有意に増加.また,D群のAST,FFA,ヒアルロン酸は他2群と比較し有意に低値を示し,NASH grading/stagingにおいても軽度であった.さらにD群microbiotaではProteobacteriaの増加,Bacteroidiaの減少を認めた.【結語】DJBによる糖尿病・NASH改善には胆汁酸吸収・GLP-1分泌増加,腸内細菌叢の変化といった複合的な効果が寄与していた.今回の検討においてDJBがLiraglutideによる治療を凌駕していたことから今後,外科的アプローチが糖尿病・NASHに対する治療optionとなる可能性がある. |
索引用語 |
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