セッション情報 シンポジウム9

膵胆道疾患におけるInterventional EUSの有用性と問題点

タイトル S9-2:

膵充実性腫瘍に対する高陰圧を用いた25G穿刺針によるEUS-FNAは組織採取に有用なのか?

演者 工藤 大樹(北海道大学病院消化器内科)
共同演者 河上 洋(北海道大学病院消化器内科), 林 毅(札幌医科大学附属病院第四内科)
抄録 【背景】膵病変に対するEUS-FNAは安全かつ高い診断能を有する.穿刺針の中では25G穿刺針は最も細く,穿刺の難易度も低いが,十分な組織量が採取できないことが問題点である.近年,膵充実性腫瘍に対する22G穿刺針と50 mLのシリンジを用いた高陰圧吸引法による検体採取の試みが報告されているが,25G穿刺針による高陰圧吸引法の併用の報告はない.【目的】膵充実性病変に対し,高陰圧吸引法を用いた25G穿刺針によるEUS-FNAは組織検体採取率や検体の質の向上に寄与するか否かを明らかにすること.【試験デザイン】多施設共同前向き単盲検無作為化交差比較試験.【対象】2011年5月から2012年4月にかけて参加7施設で膵充実性腫瘍と診断した連続90例を対象とした.【方法】同一病変に対して25G穿刺針(Echo Tip Ultra;Cook-Japan)を用いて,合計4回穿刺(通常陰圧,高陰圧吸引法を交互に2回)して検体採取を試みた.検体評価は1名の病理専門医が臨床情報を盲検化した状態で細胞量や組織構造の有無,赤血球量や介在粘膜の混入の程度を評価した.また,暫定診断(悪性/良性)も併せて行った.【結果】組織構築が評価可能であった検体は,通常陰圧,高陰圧吸引法で各々72.2%,90%であり(P=0.0003,McNemar test),高陰圧下の検体採取で組織構築が高率に評価可能であった.一方,正診率に差は認められなかった(P=0.06).【結語】膵充実性腫瘍に対する25G穿刺針によるEUS-FNAは,通常陰圧と比較して高陰圧吸引法により,組織採取が優れていた.正診率に差がみられなかった原因は,対象の膵腫瘍の大部分が膵癌であり,組織構築がなくとも細胞形態のみで診断が可能であったことに起因した,と考えられた.
索引用語