セッション情報 シンポジウム9

膵胆道疾患におけるInterventional EUSの有用性と問題点

タイトル S9-4[追]:

膵胆道疾患におけるEUS-FNA時にROSEを不要とするデバイスの開発

演者 松本 和也(鳥取大学消化器内科)
共同演者 植木 賢(鳥取大学次世代高度医療推進センター), 村脇 義和(鳥取大学消化器内科)
抄録 【背景】近年,膵胆道疾患の診断にEUS-FNAが広く用いられている.EUS-FNAでの採取検体は微小で,血液と混在していることが多く,サンプル中の標的検体の有無を肉眼的に判断することが困難である.酸化ヘモグロビンには540 nm・585 nmと2峰性のピークがあり,特異的に吸収される波長を検索するために,各単波長のLED光を照射して,標的検体の存在を明らかにするために,最適な条件をイヌの膵臓検体を用いて検索した結果,605nmの波長を透過光観察することで,標的検体の有無が明瞭になることを確認した.我々は,この知見を元に標的検体の有無を容易に判別できるデバイス:標的検体確認照明器(Target sample check illuminator:TSCI)を開発した.【目的】膵胆道疾患のEUS-FNAにおいて,TSCIの臨床的有用性を検討した.【対象と方法】対象は,2012年6月~2013年9月に当院で経験した膵胆道癌疑い症例56例(男性/女性 31/25例,平均年齢70.6歳(42-87歳),膵/胆道疾患51/5例,良性/悪性 43/13例,穿刺針19G/22G/25G 23/31/2例).EUS-FNAで採取したサンプルをTSCIで観察することで,標的検体の存在が確認できるかを検討した.各セッションで検体あり・なしを事前に判定し,病理組織学的結果との一致率を確認した.【結果】TSCIで標的検体ありの部位はオレンジ色,なしの部位は濃茶色に描出された.平均穿刺回数は2.4回(1-5回)で,137サンプルでのTSCIと病理組織との一致率は95.6%(131/137)であった.癌病変と非癌病変で検出能に差を認めなかった.TSCIで標的検体ありと診断した時点で,検査を終了し得た症例は94.6%(53/56),平均穿刺回数は1.1回(60/56)であった.【結語】EUS-FNAに対するTSCIの導入は,ROSE未導入でも必要最低限のEUS-FNAで標的検体を採取し,処置を終了できることが確認された.
索引用語