セッション情報 シンポジウム9

膵胆道疾患におけるInterventional EUSの有用性と問題点

タイトル S9-5[追]:

膵腫瘍に対する超音波内視鏡吸引生検(EUS-FNA)における液状化検体細胞診(LBC)の有用性

演者 吉田 太之(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科)
共同演者 美登路 昭(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科), 福井 博(奈良県立医科大学消化器内分泌代謝内科)
抄録 [目的]膵臓癌においてEUS-FNAによる細胞診は正診率が高く,病理学的診断に必須の検査となっているが,検体処理に統一した方法はない.これまで欧米を中心にROSE:rapid on-site cytopathological evaluationが推奨されてきたが,日本では一部の施設で施行されているにすぎない.当科ではon-siteではないが,LBC(Liquid-based cytology)法を行い,引きガラス法でのROSEと同等の良好な成績を収めているのでその有用性について報告する.[対象]2011年1月から2013年7月までに膵臓癌を疑い,EUS-FNAを施行した83例のうち,手術および臨床経過より診断を確定した79例(男/女:48/31,平均年齢67.8歳).[方法]採取検体を保存液(BDサイトリッチTMレッド保存液)を入れたシャーレに押し出し,白色検体を組織診に供した後に,残りの液状検体を用いてLBC法による細胞診を行った.具体的には,密度勾配法によって必要な細胞を集めて,thin-layer標本を作成した(SurePath法).穿刺は基本的に2回とし,肉眼的に検体の確認が困難なときにはさらに穿刺を追加した.検体採取率,診断能(感度,特異度,正診率)を検討したが,2013年1月~7月の28症例62回穿刺については各穿刺毎の検体採取率,正診率も検討した.[結果]最終診断は膵臓癌68例,自己免疫性膵炎8例,腫瘤形成性膵炎3例.平均穿刺回数は2.2回(1-4回).検体採取率は100%.診断能は感度91.2%,特異度91%,正診率91.1%であった.また,一回の穿刺での検体採取率は90.3%.正診率は82.1%であった.[結語]EUS-FNAでの検体処理において,LBC法は高い集細胞性能を有するため,少ない穿刺回数でも高い診断能を有していた.本法はROSEに比して必要人員が少なく,検査時間の短縮と検体処理手技の標準化が期待できる.
索引用語