セッション情報 シンポジウム9

膵胆道疾患におけるInterventional EUSの有用性と問題点

タイトル S9-10:

当センターにおけるEUSガイド下胆道ドレナージの治療成績―専用拡張ダイレーターカテーテルの使用経験を含め―

演者 菅野 良秀(仙台市医療センター消化器内科)
共同演者 藤田 直孝(仙台市医療センター消化器内科), 洞口 淳(仙台市医療センター消化器内科)
抄録 【背景】EUSガイド下胆道ドレナージ(以下,ESBD)において,穿刺ルートの拡張に難渋した症例や,拡張に通電針を使用した症例で腹膜炎などの偶発症発生率が高いとの報告がみられる.【目的】ESBDの治療効果と安全性を検討し,ESBD専用拡張ダイレーターの有用性を検証すること.【対象および方法】2007年1月から2013年8月までに,当センターでESBD(胆管-消化管吻合)を行った56例を対象とした.対象の内訳は男女比29:27,平均年齢72歳で,ドレナージルートは経胃-経肝ルートが22例,経十二指腸-肝外胆管ルートが34例であった.ESBDは1.胆管穿刺(19G FNA針),2.胆管造影,ガイドワイヤー留置,3.穿刺ルートの拡張,4.ステント留置の手順で行った.穿刺ルートの拡張は,2012年9月までは(前期群46例)細径拡張バルーン(Max Force, Boston Scientific Co.)やERCP用ダイレーターカテーテル(Cathex Co., Hanako Medical)を用いて行い,2012年10月以降は(後期群10例)全例専用ダイレーター(ESダイレーター,7F,先端外径0.74mm,先端部にシリコンコーティング施行.Zeon Medical)を先行させた後に細径バルーンでの拡張を適宜追加した.拡張が困難な場合にはGW誘導下に通電針を使用した.ESBDの成功率,減黄効果,拡張困難例の頻度,早期偶発症につき検討した.【結果】ESBDは98%(55/56)で成功し,94%(52/55)で良好なドレナージ効果が得られた.通電針の使用が必要であった拡張困難例は,前期群で13%(6/46)にみられたが,専用ダイレーターを導入した後期群では認めず,通電針を使用した症例はなかった.早期偶発症は10%(6/56)にみられ,全て前期群の症例であった.偶発症の内訳は腹膜炎5例,ステント迷入およびステントの位置不良例が1例ずつみられた(重複を含む).【結語】ESBDは治療効果が高く,比較的安全に施行可能である.ESBD専用拡張ダイレーターを用いることにより,手技の確実性および安全性が向上する可能性が示唆された.
索引用語