セッション情報 シンポジウム9

膵胆道疾患におけるInterventional EUSの有用性と問題点

タイトル S9-11:

術後変更解剖例の胆道病変に対するEUS下順行性治療

演者 岩下 拓司(岐阜大学病院第一内科)
共同演者 安田 一朗(岐阜大学病院第一内科), 森脇 久隆(岐阜大学病院第一内科)
抄録 術後変更解剖例におけるERCPは,小腸内視鏡の出現により胆管開口部への到達が可能となり一定の成果を上げているが,依然として手技的な難しさを伴い,時間を要し,成功率も高いとは言えない.近年,ERCPの代替方法として,EUS下胆管アプローチの有用性が報告されている.【目的】術後変更解剖例の胆道病変に対するEUS下順行性治療(EUS-guided antegrade treatments:EUS-AG)の有用性を検討する.【方法】2012/5月~2013/8月にEUS-AGを試みた全症例のデータをretrospectiveに調査した.EUS-AGは,肝左葉の肝内胆管を挙上空腸あるいは胃からEUS下に穿刺.胆管造影を行い適切な穿刺を確認後,ガイドワイヤー(GW)を胆管~乳頭(あるいは吻合部)~腸管内に順行性に留置し,dilatorで瘻孔部を拡張した.その後,悪性閉塞に対しては順行性ステント留置(antegrade biliary stenting:ABS),良性狭窄には順行性バルーン拡張(antegrade balloon dilation:ABD)を施行.結石例ではABD後に採石バルーンで結石を腸管内に押し出した.原則,ABD後は経鼻胆管ドレナージ(NBD)を留置した.【結果】期間中にEUS-AGを試みた症例は23例(胃切除Roux-en-Y再建16例・BillrothII再建2例,膵頭十二指腸切除後Child再建2例,右葉切除後胆道再建1例,上部消化管閉塞後胃空腸吻合術後2例).胆道病変は悪性胆道閉塞11例,胆管結石11例,吻合部狭窄1例.結石例の4例で十分な胆管拡張なく穿刺不可,1例で胆管造影上結石を認めず,さらに1例でGWが結石嵌頓を通過せず.残り17例(74%)全例で胆管穿刺・GW留置が可能であり,胆道閉塞11例にABS,胆管結石5例にABD+採石,吻合部狭窄1例にABDを完遂した.NBDは9例で留置し,中央値7日後に抜去.術後軽症膵炎2例,腹痛2例,発熱1例に認めたが,いずれも保存的に軽快した.【結論】術後変更解剖例の胆道病変に対するEUS-AGは有効で安全な代替え療法になりうると考えられた.結石例では胆管拡張がない場合があり,アクセス可能な胆管が限られるEUS-AGでは,その適応も限られると考えられた.
索引用語