セッション情報 |
シンポジウム10
膵癌化学療法の進歩
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タイトル |
S10-1:膵癌術後補助化学療法の進歩と今後の展望
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演者 |
上坂 克彦(静岡がんセンター肝胆膵外科) |
共同演者 |
福冨 晃(静岡がんセンター消化器内科), 朴 成和(聖マリアンナ医科大学腫瘍内科) |
抄録 |
2007年にCONKO-001の結果が発表されて以来,膵癌の術後補助化学療法はゲムシタビン(GEM)療法が標準であった.日本膵癌補助療法研究グループ(JASPAC)は,2013年1月のASCO GI,次いで同年6月のASCOで「膵がん切除後の補助化学療法における塩酸ゲムシタビン療法とS-1療法の第III相比較試験」(JASPAC 01)を発表した.本試験はGEM療法に対するS-1療法の生存期間における非劣性を検証することが目的で,主要評価項目は生存期間,副次的評価項目は,無再発生存期間,有害事象発生割合,健康関連QOLとした.肉眼的根治切除後の膵癌症例が,GEM群(GEM 1000mg/m2を第1,8,15日目に経静脈投与,4週を1コースとし,6コース施行)かS-1群(1回量40mgまたは50mgまたは60mgのS-1を1日2回,4週連続投与し2週休薬,6週を1コースとし4コース施行)に無作為に割りつけられた.2007年4月から2010年6月までに,33施設から385名が登録され,2012年8月に378名(GEM/S-1:191/187)の最大解析集団を対象として中間解析が行われた.両群の背景因子に差はなかった.2年生存率は,GEM/S-1:53%/70%で,S-1のGEMに対するハザード比(HR)は0.56(95% CI,0.42-0.74,p<0.0001非劣性,p<0.0001優越性),2年無再発生存率はGEM/S-1:29%/49%で,S-1のGEMに対する再発についてのHRは0.56(95% CI,0.43-0.71,log-rank p<0.0001)であった.Grade 3/4の有害事象(GEM/S-1)は,白血球減少39%/9%,血小板減少9%/4%,下痢0%/4.8%などであった.以上の結果から,膵癌術後補助療法において,S-1はGEMに対して優越性を示した.本試験を受け,昨年秋に改訂されたわが国の膵癌診療ガイドラインでは,S-1療法は膵癌術後補助化学療法の新しい標準治療として位置付けられた. |
索引用語 |
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