セッション情報 |
シンポジウム10
膵癌化学療法の進歩
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タイトル |
S10-7:化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌に対するFOLFIRINOX併用療法の第II相臨床試験
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演者 |
福冨 晃(静岡県立がんセンター消化器内科) |
共同演者 |
奥坂 拓志(国立がん研究センター中央病院胆肝膵内科), 池田 公史(国立がん研究センター東病院胆肝膵内科) |
抄録 |
[目的]化学療法未治療の遠隔転移を有する膵癌(MPC)に対し,FOLFIRINOX療法がGEM療法に比べOS及びPFSを有意に改善することが報告された(ACCORD11試験).本邦におけるFOLFIRINOX療法の有効性及び安全性の確認を目的に第II相臨床試験を実施した.[方法]FOLFIRINOX療法は,Day1にL-OHP 85 mg/m2,l-LV 200 mg/m2,CPT-11 180 mg/m2を点滴静注し,その後,5-FU 400 mg/m2をbolus投与,Day1からDay3に5-FU 2400 mg/m2を持続静注し,2週毎に繰り返した.主要評価項目は奏効率(RR)とし,期待奏効率を30%,閾値奏効率を10%と設定した.[結果]2011月6月~2012年9月に36例が登録され,最終症例の登録から1年後に最終解析を行った.患者背景は,年齢中央値:61.5歳(27-71),男/女:24/12,PS0/1:21/15,膵頭部癌:7例,胆管ステント留置例:6例であった.RRは38.9%(95%CI:23.1-56.5),奏効期間中央値は170日(42-287),PFS中央値は5.6ヵ月(3.0-7.8),MSTは10.7ヶ月(6.9-13.2)であった.Grade 3以上の主な有害事象は,好中球数減少が77.8%,発熱性好中球減少症(FN)が22.2%であった.減量・延期基準の遵守によりFNは2Cy目以降に認められなかった.副作用による中止は4例のみであった.本療法による治療関連死は認められなかった.背景因子別のGrade 3以上の好中球数減少は,男/女:70.8%/91.7%,65歳以上/未満:100%/72.4%,PS0/1:85.7%/66.7%,ステント留置有/無:83.3%/76.7%,FNは,男/女:25.0%/16.7%,65歳以上/未満:28.6%/20.7%,PS0/1:19.0%/26.7%,ステント留置有/無:50.0%/16.7%であった.[結論]本邦におけるFOLFIRINOX療法は,ACCORD11と同等の効果を示した.Grade 3以上の好中球数減少,FNが高頻度に認められたが,管理可能であった.FOLFIRINOX療法は日本人膵癌患者に対しても1st lineの標準療法になり得ることが示唆された. |
索引用語 |
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