セッション情報 パネルディスカッション1

消化管癌テーラーメード化学療法の進歩

タイトル PD1-3:

HER2陽性胃癌の組織型別HER2陽性率の検討

演者 冨永 直之(東京医科大学消化器内科)
共同演者 後藤田 卓志(東京医科大学消化器内科), 森安 史典(東京医科大学消化器内科)
抄録 【目的】近年胃癌の化学療法において,HER2陽性であればトラスツズマブを使用することが推奨されている.しかし胃癌は組織型が混在しており,HER2も不均一に発現しているが,その組織型について詳細に検討した報告は現在のところなく,今回我々はHER2陽性細胞の分布について検討した.【方法】2010年~2013年の期間に胃癌にて当院で胃切除を行い,HER2染色(IHC法)を行った症例を対象に後ろ向き検討を行った.生検および手術における病変の組織型の構成を抽出し,HER2陽性となった部位の組織型について比較検討した.【成績】今回の検討には生検のみの症例が37例,手術症例が47例該当した.病変にはtub1 17例,tub2 47例,por 49例,sig 22例,pap 6例,muc 6例含まれていた.最もHER2が染色された部位を分化型別で比較すると,有意差を持って分化型癌が多かった(p<0.01).また特に多かったtub1とtub2で比較しても,有意差を持ってtub2が多かった(p<0.01).生検で分化型癌が採取された場合,未分化型癌と比し,有意差を持ってHER2陽性となっているため(p<0.01),Adjuvant therapy,Neo-adjuvant therapyを考慮する際には分化度が高い部位から生検することが望ましい.【結論】以上よりHER2陽性細胞はtub2が多いことが判明した.同部を中心に生検や染色を行えば,HER2陽性胃癌の診断の精度は上昇する可能性がある.今後も症例を重ね,さらなる検討を続けていきたい.
索引用語