セッション情報 パネルディスカッション1

消化管癌テーラーメード化学療法の進歩

タイトル PD1-6:

大腸癌化学療法におけるテーラーメード化の試み

演者 植竹 宏之(東京医科歯科大学応用腫瘍学)
共同演者 石川 敏昭(東京医科歯科大学腫瘍外科), 杉原 健一(東京医科歯科大学腫瘍外科)
抄録 初めに:ACTS-CC trialはStageIII結腸およびRS癌に対する補助化学療法としてのS-1とUFT/LVの同等性を検索する第III相ランダム化比較臨床試験である.ACTS-CC trialの付随研究としてホルマリン固定パラフィン包埋標本をもちいたバイオマーカー検索を行った.対象と方法:ACTS-CC trialに参加した症例のうち同意の得られた原発巣切除標本を対象とした.1)遺伝子発現(892検体);5-FU代謝および葉酸代謝に関連する11遺伝子(TS,DPD,TP,OPRT,FPGS,GGH,DHFR,MTHFR,MTHFD,FOLRA,GART)の腫瘍内発現をDanenberg Tumor ProfileTM法(Shirota, Y. JCO 2001)を用いて定量した.2)コピー数解析(779検体);gDNAを抽出し,high-density SNP array(Human 250K StyI array,Affymetrix)を用いた解析に十分と思われるhigh qualityのサンプル162検体を用いてコピー数解析を行った.結果:1)遺伝子発現の相関において,スピアマンの相関係数(Rs)が最も高かったのはDPDとTPであった(0.68).Rsにより遺伝子発現間の相関を3段階(positive(0.5を超える),week(0.31-0.50)およびnegative(0.3以下)),に分類すると,TSとOPRTは葉酸代謝酵素7種のうち4種(DHFR, MTHFR, MTHFD, and GART)とpositiveないしweekな相関を有していた.2)染色体上のコピー数gainとlossの分布は欧米の過去の報告とほぼ一致していた.考察:今後はACTS-CC trialの生存のデータを解析し,今回の遺伝子発現およびコピー数解析の結果がバイオマーカーとなりうるかを検討する.
索引用語