セッション情報 |
パネルディスカッション1
消化管癌テーラーメード化学療法の進歩
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タイトル |
PD1-7:進行・再発大腸癌化学療法における抗癌剤感受性試験(CD-DST)を用いたテーラーメード化学療法の試み
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演者 |
中谷 晃典(東部地域病院外科) |
共同演者 |
落合 匠(東部地域病院外科), 西村 和彦(東部地域病院外科) |
抄録 |
【背景】現在進行再発大腸癌化学療法の個別化を施行するにあたり,日常の実臨床にて利用出来うる保険収載された検査としては抗EGFR薬の効果におけるK-ras,irinotecanの副作用におけるUGT1A1と抗癌剤感受性試験のみである.抗癌剤感受性試験は唯一殺細胞性抗癌剤の効果予測が可能である.分子標的薬の選択もさることながら,分子標的薬の投与にかかわらず5-FU,oxaliplatin,irintecanの3剤を使い切ることが重要とされている.しかし実臨床では1st.lineの施行期間が最も長く,2nd.lineに移行できず3剤を使い切れない症例も少なくない.このため最も重要な1st.line選択時に個別化の指標があれば予後の向上につながると考えられる.今回当科におけるCD-DSTを用いた1st.lineの個別化の試みを報告する.【目的】CD-DSTを用いた進行再発大腸癌化学療法におけるfirst lineの個別化.【対象】2008年3月~2013年8月に術前化学療法未施行77例の大腸癌切除症例.【方法】CD-DSTを用い各症例のFOLFOX/FOLFIRIにおける腫瘍抑制率(IR)を求めた.接触条件はFOLFOX:5-FU+l-OHP;6.0+3.0μg/ml,24 hrs,FOLFIRI:5-FU+SN-38;6.0+0.2μg/ml,24 hrsとした.FOLFOX/FOLFIRIの臨床奏効率が約50%である事に基づき,2接触条件におけるIRおよび各症例におけるIRの乖離のヒストグラム・累積分布を評価・検討した.【結果】FOLFOX/FOLFIRIにおけるIRの分布は正規分布を呈し,中央値は61.4,72.5%であった.各症例におけるIRの乖離のヒストグラムも正規分布を呈した.この結果に基づきIRの乖離のヒストグラムを検討した結果,1SD以内に含まれる症例は臨床上同等の有効性とすると,first lineにFOLFOX推奨例は15例,FOLFIRI推奨例は13例,同等の有効性と考えられた症例が49例であり,全例においてfirst lineの個別化が可能であった.【結語】CD-DST(生検検体でも施行可能)によりfirst lineの個別化化学療法が可能で,少なくとも全体の1/3の症例においてより有効なregimenを選択することで予後の改善が期待できると考えられた. |
索引用語 |
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