セッション情報 パネルディスカッション1

消化管癌テーラーメード化学療法の進歩

タイトル PD1-8:

liquid biopsyによるreal time assessmentを利用したEGFR阻害剤の新治療戦略

演者 山田 岳史(日本医科大学消化器外科)
共同演者 松田 明久(日本医科大学消化器外科), 内田 英二(日本医科大学消化器外科)
抄録 【背景】EGFR阻害薬はKRAS野生型腫瘍にのみ奏効する.大腸癌転移巣のKRAS statusは原発巣と10%の症例で一致せず,またEGFR阻害剤の投与によりKRAS野生型腫瘍内にKRAS変異クローンが増加することが報告されている.治療開始前の個別情報から1次治療を選択するこれまでの個別化治療には限界があり,転移巣のstatusや治療による新たな変異を知り,治療を選択するような試みはなされてこなかった.治療中に腫瘍サンプルを継続的に採取し,real timeな個別情報をassessmentすることができれば時間軸を意識した個別化治療が可能となると考え,治療前から定期的に末梢血中のcell free DNAを採取し,分子診断(liquid biopsy:LB)を行い,継続的なKRAS変異解析によるEGFR阻害剤耐性化の予測を試みた.【目的】LBを用いKRAS変異解析を定期的に行い,real time assessmentの概念を取り入れた新たな大腸癌EGFR阻害剤個別化治療戦略を開発する.【方法】対象はEGFR阻害剤を投与する転移性大腸癌.治療開始前から継続してLBによるKRAS変異解析を行い耐性のモニタリングを行う.LBを行うにあたり当院IRBの承認を得た.【結果】予備研究として31例(野生型:WT19例,変異型:MT12例)の転移性大腸癌にLBを行った.MT12例中10例(83.3%)でLBによりMTを検出できた.EGFR阻害剤による治療歴のあるWTの2例(10.5%)からLBにてG13Dが2例検出された.この2例を含む8例の原発巣WT大腸癌にEGFR阻害剤を投与し1例がCR,6例がPR,G13Dの1例がSDであった.治療の奏効によりG13Dの2例はともにLBからG13Dが検出されなくなった.7例は現在も奏効中であり,最長で1年以上LBを継続しているが,MTは検出されていない.【結語】LBによるKRAS変異モニタリングは個別化治療にreal time assessmentという時間軸を意識した新たな戦略をもたらす.
索引用語