セッション情報 パネルディスカッション1

消化管癌テーラーメード化学療法の進歩

タイトル PD1-10:

抗EGFR抗体製剤の有効性と皮膚障害に対するSNPの影響

演者 齋藤 梨絵(筑波大学附属病院消化器内科)
共同演者 鈴木 英雄(筑波大学附属病院消化器内科), 兵頭 一之介(筑波大学附属病院消化器内科)
抄録 【目的】切除不能再発大腸癌KRAS野生型において,上皮成長因子受容体(EGFR)を標的とするモノクローナル抗体は,非常に効果的であり,長期無増悪期間(PFS)および全生存率(OS)の延長に貢献している.一方,重大な副作用として皮膚毒性を認め,QOLの低下,如いては治療継続の妨げとなることがある.今回私達はEGFR発現,リガンド結合,またはシグナル伝達活性を調節することが知られているEGFRに関与する遺伝子多型と皮膚毒性,更にはPFSやOSが相関しているかどうかを分析した.【方法】切除不能再発大腸癌KRAS野生型の患者で,cetuximab又はpanitumumabは単剤または併用療法を行った患者32人(男性21人,女性11人,年齢中央値61歳)を対象とした.治療効果は,2-3ヶ月毎にResponse Evaluation Criteria in Solid Tumours(RECIST)version1.1に則り評価した.皮膚毒性は,治療開始8週間以内に出現したものについてNational Cancer Institute Common Toxicity Criteria(version 4.0)に従って評価した.5つのEGFR関連遺伝子における遺伝子多型{EGFR-D994D(rs2293347),EGF5’-UTR 61A>G(rs4444903),FCγRIIaH131R(rs1801274),FCγRIIIa-V158F(rs396991),EGFR-R521K(rs2227983)}と,皮膚毒性,PFS,OSの関連を検討した.【結果】EGFR-D994Dの遺伝子型(C/C)は,Grade3以上の皮膚毒性が有意に少なかった.(p=0.038)しかし,アレル間でPFS,OSについては有意な差は検出されなかった.その他4種の遺伝子多型と皮膚毒性,PFS,OS間に有意な差は検出されなかった.【結論】EGFR-D994D遺伝子多型は,抗EGFR抗体を受けている患者の皮膚毒性を予測するための有用なバイオマーカーになりうる.
索引用語