セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-2:

好酸球性消化管障害の臨床像と治療経過の検討

演者 森山 智彦(九州大学病態機能内科学)
共同演者 江崎 幹宏(九州大学病態機能内科学), 北園 孝成(九州大学病態機能内科学)
抄録 【目的】好酸球性消化管障害(EGID)の臨床像を明らかにする.【方法】1990年以降に当科及び関連施設においてEGIDが疑われた25例のうち,生検で好酸球浸潤が未確認の症例と,骨髄の腫瘍性変化があった症例を除外した18例を対象とし,その臨床像を検討した.また,治療経過から再発群と一過性群に分け,その特徴についても検討した.EGIDの診断には木下班の診断指針案を用いた.【結果】診断時年齢は14歳から64歳,平均36.7歳で男女比は9:9,気管支喘息やアトピー性皮膚炎といったアレルギー疾患を有していたのは10例,56%であった.初発症状は腹痛が15例と最も多く,それ以外の3例は腹部膨満感を認め,全体の61%,11例に下痢を伴っていた.末梢血好酸球数は16例で1500/mL以上に増加しており,末梢血好酸球数の上昇がなかった2例はいずれも血清中の非特異的IgEが高値であった.腹水貯留は8例,44%に認めた.好酸球浸潤を認めた臓器は十二指腸が12例と最も多く,胃が6例,大腸が5例,食道,小腸がそれぞれ2例であった.15例で治療にステロイドが用いられており,そのうち9例は抗ヒスタミン薬やロイコトリエン拮抗薬などが併用されていたが,無治療で自然軽快した症例が2例存在した.全例,治療に対する反応性は良好であったが,7例はEGIDの再発を認めた.再発群7例と一過性群11例を比較したところ,再発群は一過性群に比べて診断時年齢が高齢で,胃に好酸球浸潤を認める症例が多かった.再発群の1例はステロイド減量に伴って何度も再発し,免疫調整薬やヒドロキシウレアを併用していた難治例であったが,生活環境が変化した直後よりコントロール良好となり,現在は無治療で再発を認めていない.【結論】高齢発症や胃病変を有するEGIDは再発することが多く,難治例では生活環境の見直しも検討すべきと考えられた.
索引用語