セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-3:

十二指腸炎における好酸球浸潤の検討

演者 相澤 茂幸(服部記念病院内科)
共同演者 加藤 佐紀(服部記念病院内科), 餅 忠雄(服部記念病院内科)
抄録 【背景と目的】好酸球性胃腸炎(EGE)の診断には消化管粘膜の好酸球浸潤(基準案では20/HPF(強拡大)以上)の確認が必須であるが,好酸球は正常消化管粘膜にも存在し,部位差があるとされている.われわれは十二指腸に焦点を当てて,十二指腸炎における好酸球浸潤の程度を胃病変と対比検討し,EGEの病態と診断について考察した.【対象】2012年4月から2013年7月までに当院で行った上部消化管内視鏡検査で腹部症状の有無にかかわらず十二指腸炎(発赤,びらん,浮腫)の所見を認め,生検し得た症例161例(男性99例,女性62例,平均年齢57.5歳)【方法】161例の十二指腸粘膜生検組織で浸潤好酸球数(強拡大1視野中の個数)を評価し,このうち58例では胃粘膜(発赤,びらん)の浸潤好酸球数も評価した.背景因子として,症状の有無,アレルギー歴,喫煙歴,飲酒歴,ピロリ菌の有無を調べ,浸潤好酸球数との関係を解析した.【結果】十二指腸粘膜の好酸球浸潤は平均11.34/HPFで,58例の胃の浸潤好酸球数(平均値7.38/HPF)と比べると有意(P<0.001)に多かった.ピロリ菌の有無(15.56/HPF vs 10.60/HPF,P=0.024)と喫煙の有無(8.26/HPF vs 12.69/HPF,P=0.028)で浸潤好酸球数に有意差を認めたが,症状,アレルギー歴,飲酒歴の有無では差はなかった.十二指腸粘膜の浸潤好酸球数が20/HPF以上を満たす症例は21例(13%)で,その内訳はEGE確診・疑診が9例,無症状例が9例,症状の原因が他疾患であったのが3例であった.EGE確診5例では胃粘膜に20/HPF以上の好酸球浸潤を認めなかった.【結論】十二指腸粘膜は胃粘膜と比べ好酸球数が有意に多く,EGEにおいて鋭敏に反応する可能性があり,疾患の拾い上げには適している.十二指腸の浸潤好酸球数はピロリ菌や喫煙の影響を受ける可能性がある.また無症候性の好酸球浸潤例が存在することが明らかになり,今後更なる検討が必要である.
索引用語