セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-6:

当科における好酸球性食道炎および関連疾患の臨床的特徴と治療成績の検討

演者 藤原 靖弘(大阪市立大学消化器内科学)
共同演者 朴 成華(大阪市立大学消化器内科学), 荒川 哲男(大阪市立大学消化器内科学)
抄録 【背景】好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis,EoE)は食物つまり感や嚥下困難を主症状とし生検にて食道上皮内に高視野で15個以上の好酸球浸潤を認める慢性のアレルギー疾患とされる.元々GERDなど他疾患を除外することが必須であったが,同様の病状に対してPPIが有効な症例(PPI反応性好酸球浸潤proton pump inhibitor-responsive esophageal eosinophilia,PPI-R EE)が存在しEoEと類似した病態が示唆されている.当科では,このような背景より第一に,PPIを投与し,無効症例に対してはフルチカゾン嚥下療法を行う治療方針を行っている.【目的】当科で経験したEoEとPPI-R EEについて臨床的特徴や治療成績を検討する.方法:2010.4-2013.8までに当科で経験した17症例について,症状,病悩期間,アレルギーの有無,血液検査(末梢血好酸球数,T-IgE,IgE-RAST),内視鏡所見(EoE endoscopic reference score,Gut 2013),食道上皮内好酸球浸潤数,治療効果(自他覚所見),予後を検討した.【結果】17例中,男性9例,女性6例,平均47.5歳であった.症状は食物つまり感12例,嚥下困難6例,胸やけ5例,胸痛3例で,病悩期間は1ヵ月から6年であった.食物を含むアレルギーの合併を11例(65%)に認めた.血液検査では末梢血好酸球増多は5例,IgE上昇9/15例であった.IgE-RAST陽性は8例に認めたが,治療方針に直結するものはなかった.17例中7例はPPIにより改善し,残りの9例に対してフルチカゾン嚥下療法を行い,8例に自他覚所見の改善を認めた.その内1例は,再発を繰り返し,6-9カ月ごとの嚥下療法が必要であったが,経過中に入院加療を要する症例はなく,予後は全例で良好であった.フルチカゾン嚥下療法の副作用は1例に軽度嗄声を認めたのみであった.【結語】EoE疾患群にはPPIが有効な症例が存在する.フルチカゾン嚥下療法は有用な治療法であり,総じて予後は良好であった.
索引用語