セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-7:

当院で経験した好酸球性食道炎16例の検討

演者 友松 雄一郎(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器内科)
共同演者 芳野 純治(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器内科), 小林 隆(藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院消化器内科)
抄録 【目的】好酸球性食道炎(eosinophilic esophagitis,EoE)は食道上皮への好酸球浸潤を主とする慢性のアレルギー疾患である.本疾患の病態を明らかにする.【方法】2010年5月から2013年4月までに,当院で経験したEoE16例を対象とし,臨床像,内視鏡像,病理組織像および治療について検討した.診断は厚生労働省の班研究による診断指針(2009年)に基づいた.【結果】平均年齢は50歳,男性が11例であった.主訴は胸やけが5例と最も多く,次いで嚥下困難4例,つかえ感4例,胸痛3例などであった.アレルギー疾患の既往は12例,末梢血の好酸球数増加は1例,IgE値上昇は11例であった.内視鏡所見は縦走溝が15例と最も多く,他に輪状溝5例,白斑5例などであった.NBI観察を実施した9例中8例にIPCLの拡張を認めた.超音波内視鏡(EUS)検査を全例で実施し,食道壁の粘膜(m)+粘膜下層(sm)の厚さは平均1.8±1.0mm,固有筋層(mp)の厚さは平均1.8±1.4mmであった.EUSにより食道壁の肥厚を2例で認め,このうち,内視鏡検査で狭窄を認めた症例ではm+sm3.5mm,mp6.9mmと肥厚が著明であった.病理組織検査では,全例に食道上皮に好酸球浸潤を認め,好酸球数の最大値は平均80/HPFであった.Mast Cell Tryptase抗体による免疫染色を全例に実施し肥満細胞を認めた.治療は10例に必要であり,初期治療としてPPIの内服処方を行った.4例で効果を認めたが,6例は5週間以上の内服にても,症状の改善を認めなかった.PPIが無効であった6例中,3例に対してPrednisolone(PSL)内服(20mg/日),狭窄を認めた1例に対しPSL点滴(30mg/日)を併用し症状と内視鏡所見の改善を認めた.残りの2例はPSLを使用せず経過観察中である.【結論】EoEの内視鏡所見は縦走溝が最も多く,他に輪状溝,白斑を認めた.食道上皮にはアレルギー疾患に認める好酸球浸潤と肥満細胞の出現が特徴的であった.
索引用語