セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-8:

好酸球性食道炎15例の臨床像の検討

演者 楠瀬 寛顕(東北労災病院消化器内科)
共同演者 大原 秀一(東北労災病院消化器内科), 浜田 史朗(東北労災病院消化器内科)
抄録 【目的】好酸球性食道炎(EoE)は食道上皮中の著明な好酸球浸潤を特徴とする原因不明の疾患である.最近は国内でも報告例が漸増しているが,臨床像は不明な点が多い.そこで,当院にて診断されたEoE患者を対象に,その臨床像・治療経過を検討し報告する.【方法】2010年1月から2013年3月の間に上部内視鏡検査を施行しEoEを疑わせる所見を認め,生検組織の高倍率(400倍)1視野に20個以上の好酸球浸潤を認めEoEとした症例を対象とした.有症状者にPPIを5-6週間投与し,症状改善のない症例には吸入ステロイド剤嚥下療法を施行した.その後,患者背景,自覚症状,内視鏡所見,組織学的所見の推移を比較した.【結果】2010年1月から2013年3月に当科での上部内視鏡検査18994件中,生検組織にてEoEと診断した例は15例(0.08%)で,男性11例,女性4例,年齢は20歳から71歳であった.アレルギーの既往は60%に認めたが,特定の食物の関与が疑われたのは1例であった.特徴的内視鏡像は縦走溝は100%,輪状溝は93.3%,白濁粗ぞう粘膜は93.3%,小白斑は33.3%の症例に認められた.15例中,自覚症状は13例にみられ,つかえ感が最も多かった.この13例中11例(84.6%)ではPPI投与で症状の消失(9/11例)もしくは軽減(2/11例)が得られた.PPI投与後に組織学的に治療効果を確認した11例のうち,臨床症状だけでなく組織所見まで改善が得られたのは7例63.6%,PPI投与期間は28-98日間であった.また,臨床症状は消失したが組織所見が残存した症例は2例18.2%,PPI投与期間は73-137日間であった.治療施行の13例中,PPIで症状が改善せず吸入ステロイドの嚥下療法を要した例は2例18.2%であった.【結論】今回の検討から,日本において組織学的に診断されるEoEは,自覚症状の有無や臨床像は多彩であり,自覚症状の多くはPPIが有効であるが,今後更に症例数を重ね検討が必要である.
索引用語