セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-10:

FSSGスコアに基づく好酸球性食道炎の前向き検討

演者 沖元 謙一郎(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学)
共同演者 新井 誠人(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学), 横須賀 收(千葉大学大学院医学研究院消化器・腎臓内科学)
抄録 【目的】好酸球性食道炎(EoE)は内視鏡受検者5000例に1例程度認められるとされている.GERD症例にEoEがある程度含まれる事が予想される.本研究ではGERD症例にEoEがどの程度認められるかを検討し,また当院におけるEoE症例の診断と診療の実際を明らかにすることを目的とした.【方法】2012年4月~2013年9月までに,FSSGスコア8点以上の症例に対して内視鏡検査を当院で施行した全例に対して,逆流性食道炎(RE)の有無を評価し,内視鏡所見に関わらず,食道粘膜生検にて好酸球浸潤の有無を調査した.生検はZ lineより5cm,15cm口側より2箇所ずつ計4箇所施行した.少なくとも1箇所で好酸球浸潤15個≧HPFであった症例を好酸球浸潤陽性とし,患者背景,治療効果を検討した(UMIN000009705).【結果】FSSGスコア8点以上のGERD36例(FSSGスコア中央値15)に内視鏡検査を施行した.PPIもしくはH2 blockerを65%の症例で既に内服していた.GERDの内訳はロサンゼルス分類grade A~DのRE10例,grade M,Nの非びらん性胃食道逆流症(NERD)26例であった.食道生検を全例に施行し,3例に好酸球浸潤陽性であり,EoEの疑いとした.この3例の患者背景は70代男性,50代女性,50代女性で,grade Mが2例,Nが1例であった.いずれの症例でも食道に輪状狭窄,縦走溝,白斑を認めなかった.治療内容は,PPI継続投与1例,プレドニゾロン経口投与1例,吸入用フルチカゾン経口投与1例であった.女性2例で症状の改善を認めた.男性の1例では吸入用フルチカゾン経口投与でも症状は改善せず,食道内圧検査を施行したところ,LES弛緩はあるが遠位食道の過剰収縮を認めJackhammer esophagusの合併が明らかとなり外科的治療予定となった.【結論】GERD症例に食道好酸球浸潤陽性例が含まれることが明らかとなった.既報より多くのEoE疑い症例を認めたが,検討対象に,基礎疾患を有する症例や治療抵抗性GERDが多く含まれた為と考えられた.
索引用語