セッション情報 パネルディスカッション2

好酸球性食道炎,好酸球性胃腸炎の病態,診断,治療

タイトル PD2-11:

成人嚥下障害患者における好酸球性食道炎およびリンパ球性食道炎の割合と内視鏡所見

演者 田中 匡介(三重大学光学医療診療部)
共同演者 田野 俊介(三重大学光学医療診療部), 濱田 康彦(三重大学光学医療診療部)
抄録 【背景と目的】近年,欧米では好酸球性食道炎の増加が報告され,スウェーデンを中心にリンパ球性食道炎という新たな疾患も報告されている.それらの疾患は,嚥下障害および食道異物(食物片圧入)の症状を伴うことが多くみられる.今回,スウェーデンでの好酸球性食道炎およびリンパ球性食道炎の内視鏡所見とNBIを使用した拡大内視鏡所見を検討した.
【対象と方法】2011年8月から2013年1月までにカロリンスカ大学病院で嚥下障害もしくは食道異物を主訴に上部消化管内視鏡を施行した成人連続78例を対象とした.60例拡大内視鏡を用いて検査を行い,通常内視鏡およびNBI拡大内視鏡を施行した.観察後に上部中部下部食道より少なくとも計4か所以上の生検を行った.
【結果】生検により病理学的に好酸球性食道炎と診断されたのは14症例(17.9%)であったが,PPI内服後の内視鏡下生検で好酸球性食道炎と確定診断されたのは6症例であった.また,リンパ球性食道炎と診断されたのは,14症例(17.9%)であった.全症例背景は平均年齢45.3歳(中央値41歳,18-82),男性27例,女性1例.拡大内視鏡を観察に用いた21例(好酸球性食道炎10例,リンパ球性食道炎11例)で内視鏡像を検討すると,通常内視鏡でmucosal rings,linear furrows,white exudates,narrow caliberを認めた症例は,好酸球性食道炎で8例,9例,7例,5例でリンパ球性食道炎では6例,6例,2例,4例であった.NBI拡大観察では,beige color,increased IPCLs,invisibility of submucosal vascularityが観察され,好酸球性食道炎症例で100%,リンパ球性食道炎症例で81.8%に認めた.
【結語】スウェーデンでの嚥下障害および食道異物78症例のうち,17.9%は(食道好酸球症を含んだ)好酸球性食道炎で,17.9%はリンパ球性食道炎であった.NBI拡大内視鏡所見では上記の3つの所見を認めた.
索引用語