セッション情報 |
パネルディスカッション3
抗血栓薬服用時の消化管傷害・出血の実態とその対策
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タイトル |
PD3-2:低用量アスピリンにより上部消化管の複数臓器に粘膜障害を生じた症例の検討―発症頻度・症状・QOL―
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演者 |
嶋田 裕慈(順天堂大学消化器内科) |
共同演者 |
永原 章仁(順天堂大学消化器内科), 渡辺 純夫(順天堂大学消化器内科) |
抄録 |
【背景】低用量アスピリン(LDA)は全消化管へ粘膜傷害を起こすことが知られている.しかし傷害の範囲を個々の臓器で検討した報告が多く複数臓器への傷害を検討した報告はほとんどない.【目的】LDA内服の有無とGERD(esophageal injury:EI),胃びらん/潰瘍(gastric injury:GI),十二指腸びらん/潰瘍(duodenal injury:DI)のいずれかを同時に認めた症例で発症頻度,症状,QOLを検討した.【方法】2008年4月から2012年12月に当科で上部消化管内視鏡検査を施行しFSSGとSF8の回答を得た8280例(PPI及びH2RA内服例は除外した)を対象とした.上部消化管粘膜障害の発症頻度はLDA内服者(LDA-user)と非内服者(Cont.)で比較した.粘膜障害を認めた症例で症状とQOLをLDA-userとCont.で比較した.症状(FSSG)はTS,RS,DSに分けQOL(SF8)はPCS,MCSに分けて検討した.【成績】8280例のうちLDA-userは501例,Cont.は7779例であった.発症頻度はEI+GIがLDA-user:Cont.=4.79%(n=24):2.89%(n=225)(p=0.051),EI+DIが0.20%(n=1):0.33%(n=26)(p=0.32),GI+DIが3.59%(n=18):1.76%(n=137)(p=0.048)であった.症状(TS,RS,DS)はEI+GIがLDA-user:Cont.=6.3±7.0:8.0±7.4(p=0.30),3.9±4.2:4.4±4.5(p=0.58),2.4±3.3:3.5±3.4(p=0.13),EI+DIが7:6.8±6.3,3:4.1±4.3,4:2.7±2.9,GI+DIが4.8±5.0:6.1±5.8(p=0.37),2.4±3.0:3.2±3.5(p=0.37),2.4±2.4:3.0±2.9(p=0.47)であった.QOL(PCS,MCS)はEI+GIがLDA-user:Cont.=47.8±9.1:48.8±6.9(p=0.53),49.2±5.5:48.4±7.5(p=0.62),EI+DIが44.3:50.8±5.1,47.0:48.7±5.7,GI+DIが47.6±5.8:48.3±7.8(p=0.06),48.4±6.7:48.5±7.0(p=0.82)であった.【結論】LDA-userはnon-userと比較して胃と十二指腸へ同時に粘膜障害を発症する頻度が有意に高かった.症状やQOLに関してはLDA内服に有意な関連を認めなかった. |
索引用語 |
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