セッション情報 パネルディスカッション3

抗血栓薬服用時の消化管傷害・出血の実態とその対策

タイトル PD3-6:

低用量アスピリンによる胃・十二指腸潰瘍再発に対するラベプラゾールの予防効果―多施設共同無作為化並行群間二重盲検比較試験―

演者 梅垣 英次(大阪医科大学第二内科)
共同演者 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科), 藤本 一眞(佐賀大学内科学)
抄録 【目的】虚血性心疾患や脳血管障害の予防のために使用される低用量アスピリン(LDA)服用者では,消化性潰瘍や上部消化管出血のリスクが高いことが知られている.今回LDAによる胃・十二指腸潰瘍再発に対するラベプラゾール(RPZ)の二次予防効果を検討する臨床第II/III相試験として,全国63施設で無作為化並行群間二重盲検比較試験(Planetarium Study)を施行した.【方法】LDA(81mg又は100mg)の長期投与が必要で,かつ潰瘍の既往歴を有する患者を対象に,RPZ 10mg/日,RPZ 5mg/日またはテプレノン150mg/日の3群に無作為に割付け,24週間投与した際の胃・十二指腸潰瘍再発率を検討した.なお潰瘍再発などの内視鏡所見は,内視鏡中央判定委員会の評価結果に基づいて解析した.【結果】登録された472例のうち,452例(RPZ 10 mg群151例,RPZ 5 mg群150例,テプレノン群151例)をFull Analysis Setとして採用した.主要評価項目である24週後における胃・十二指腸潰瘍の累積再発率(Kaplan-Meier法を用いた推定値)は,RPZ 10 mg群で1.4%,RPZ 5 mg群で2.8%,テプレノン群で21.7%であり,RPZ 10 mg群及びRPZ 5 mg群は共にテプレノン群と比較して有意に優れた潰瘍再発抑制効果を示した(いずれもp<0.001;Log-rank検定).副次評価項目である出血性潰瘍,胃・十二指腸粘膜傷害(modified Lanza Score),逆流性食道炎,上腹部症状についても,RPZ 10 mg群及びRPZ 5 mg群は共にテプレノン群と比較して統計学的に有意に有効であった.また,LDAとRPZの長期併用時における安全性に問題はなかった.【結論】RPZ 10 mg/日及びRPZ 5 mg/日はLDA投与時における胃・十二指腸潰瘍の再発予防に有用であった.
索引用語