セッション情報 |
パネルディスカッション3
抗血栓薬服用時の消化管傷害・出血の実態とその対策
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タイトル |
PD3-9:抗血栓薬症例における非静脈瘤性上部消化管出血の一次止血後再出血危険因子の検討
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演者 |
田中 佐世(板橋中央総合病院消化器科) |
共同演者 |
市川 武(板橋中央総合病院消化器科), 田和 良行(板橋中央総合病院消化器科) |
抄録 |
【目的】非静脈瘤性上部消化管出血に対する一次止血後の再出血に及ぼす抗血栓薬の影響と再出血危険因子を検討する.【方法】2010年12月から2013年6月で緊急内視鏡を施行した非静脈瘤性上部消化管出血376例を対象に再出血率を比較し,抗血栓薬の内訳や基礎疾患,NSAIDsの使用,H.pylori感染などが再出血に及ぼす影響を検討した.【結果】抗血栓薬使用群は109例(29.0%),非使用群は267例(71.0%)であった.使用群の内訳は低用量アスピリン(アスピリン)単剤44.0%,抗凝固薬単剤22.0%,アスピリン+他の抗血小板薬(抗血小板薬)併用12.8%,アスピリン+抗凝固薬併用10.1%,抗血小板薬単剤7.3%,抗血小板薬2剤併用2.8%であった.再出血率は抗血栓薬使用群では27.5%,非使用群では18.0%で有意に抗血栓薬使用群で高値であった(P=0.04,OR:1.73(95%CI:1.03~2.93)).抗血栓薬使用例の再出血率はアスピリン+抗凝固薬併用群45.5%,抗凝固薬単剤群37.5%,抗血小板薬2剤併用群33.3%,アスピリン+抗血小板薬併用群28.6%,アスピリン単剤群22.9%であった.抗血栓薬使用群での再出血率は年齢,性別,H.pylori感染,胃十二指腸潰瘍の既往,NSAIDs使用,糖尿病,脂質異常症,肝硬変症の有無で有意差は認めず,血液透析(HD)施行例(P=0.04,OR:2.69(95%CI:1.05~6.89))と高血圧有(P<0.01,OR:3.52(95%CI:1.30~9.56))で再出血率が高値であった.多変量解析ではアスピリン+抗凝固薬併用(P=0.0487,OR:3.64(95%CI:1.01~12.6))とHD施行(P=0.01,OR:2.74(95%CI:1.24~5.88))が独立した再出血の危険因子と考えられた.【結論】抗血栓薬内服が内視鏡的一次止血後再出血を来す危険性が高かった.特にアスピリン,抗凝固薬併用症例,HD症例は再出血を来す危険性が高く注意深い経過観察が必要である. |
索引用語 |
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