セッション情報 パネルディスカッション3

抗血栓薬服用時の消化管傷害・出血の実態とその対策

タイトル PD3-10:

抗血栓薬服用例の小腸粘膜傷害の実態について―OGIB精査カプセル内視鏡症例での検討―

演者 岩本 淳一(東京医科大学茨城医療センター)
共同演者 齋藤 吉史(東京医科大学茨城医療センター), 松崎 靖司(東京医科大学茨城医療センター)
抄録 【目的】OGIBカプセル内視鏡(CE)精査例での抗血栓薬服用例の小腸粘膜障害の実態と臨床経過を明らかにする.【方法】CE220例中OGIB精査186例の,低用量アスピリン(以下LDA)服用例や他の抗血栓薬服用例の潰瘍,びらんの病変部位,臨床経過を検討.【成績】OGIB精査186例中LDA服用は32例(17.2%)で,LDA単独15例,LDA+チエノピリジン系抗血小板薬15例,LDA+ワルファリン2例,ワルファリン単独2例,プレタール単独1例で,非アスピリンNSAIDは16例で8.8%あった.薬剤別では,LDA32例中23例で71.9%で小腸病変が認め,LDA単独15例中びらん9例(60.0%),LDA+チエノピリジン15例中びらん9例(60%),潰瘍3例(20%)で80%で粘膜障害が指摘され,LDA+チエノピリジン系抗血小板薬で高い傾向であった.その他ワルファリン単独2例中1例でびらんが指摘され,非アスピリンNSAID16例中びらん7例(43.6%),潰瘍5例(31.4%)と75%で粘膜障害が指摘,LDA単独ではびらんが多く,LDA+チエノピリジン系で潰瘍も指摘され,非アスピリンNSAIDで潰瘍が最も多かった.LDAではびらんが多く,病変部位は空腸から回腸に認める病変が多く,LDAによる潰瘍は回腸に多かった.治療はLDA症例ではLDA継続しPG製剤併用で経過良好であった.びらん病変では,LDAによる病変が多く原則LDAは継続とし,一部の症例でPG製剤を併用したが,貧血の増悪が認めない症例での多くは,LDA継続のみで経過観察をしたが,輸血を要するような重篤な貧血を呈する症例は認めずびらんは経過良好な症例が多かった.【結論】抗血栓薬服用例では特にLDA+チエノピリジン系併用例で小腸粘膜障害が高率に認められた.抗血栓薬服用例の小腸粘膜障害例では,非アスピリンNSAIDと比し潰瘍よりはびらんが多く,休薬困難例が多く原則抗血栓薬継続とし,潰瘍例ではPG製剤併用剤併用で臨床経過は良好であった.びらんでは,一部の症例でPG製剤併用を行ったが,多くの症例では併用なくても臨床経過は良好であった.
索引用語