セッション情報 |
パネルディスカッション3
抗血栓薬服用時の消化管傷害・出血の実態とその対策
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タイトル |
PD3-13:消化管出血による緊急入院の検討―抗血栓薬とPPIの関与―
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演者 |
小林 祥司(山梨大学医学部第一内科) |
共同演者 |
植竹 智義(山梨大学医学部第一内科), 榎本 信幸(山梨大学医学部第一内科) |
抄録 |
【目的】脳血管疾患や心疾患の増加に伴い,低用量アスピリンを含めた非ステロイド性消炎鎮痛薬(NSAIDs)や抗血栓薬の使用頻度は増加し,当院でも消化管出血症例は増加している.今回当科緊急入院患者における消化管出血症例の併存症・原因薬剤とその経年変化を比較し,消化管出血における内服薬の関与および危険因子を明らかとすることを目的とした.【方法】2010年度から3年間にのべ3083例が当科に入院した.内,緊急入院した568例中,消化管出血で緊急入院した118例を対象とした.上部・下部消化管内視鏡,造影CT,必要に応じてカプセル内視鏡を施行し,出血源を同定後適切な治療を行った.これらの消化管出血症例に対して,1.緊急入院における消化管出血の割合の変化,2.消化管出血患者の特徴(併存疾患,内服薬),3.消化管出血責任病変,4.PPI内服等の予防的治療との関連性を検討した.【結果】1.2010年度から3年間の緊急入院中,消化管出血は14.3%,20.4%,26.7%と有意に増加(p=0.003)した.2.出血患者の内服薬は,NSAIDsもしくは抗血小板薬の内服が37.5%,23.3%,43.1%と増加し,特に2剤以上の抗血栓薬投与者が増加した.透析患者は増加の傾向にあった.3.出血責任病変は上部では胃潰瘍と十二指腸潰瘍が多く,その47.8%がNSAIDsか抗血栓薬を内服していた.下部では憩室出血が主で,その50%が内服をしていた.出血同定部位は経年的にみて上部の頻度が減少し,下部の頻度が39.2%,44.2%,60.7%と有意な増加(p=0.0106)を示した.4.PPI内服数の増加に関連し,上部消化管出血の比率は減少の傾向にあった.【考察】緊急入院をした上部消化管出血は依然多いが,その頻度は減少傾向にある.PPI処方数の増加が減少の一因であると考えた.対して,NSAIDsや抗血栓薬内服例の憩室出血は著明に増加した.上部消化管におけるPPIでの予防のみならず,PG製剤など下部消化管出血に対する予防的治療の確立が望まれる. |
索引用語 |
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