セッション情報 |
パネルディスカッション3
抗血栓薬服用時の消化管傷害・出血の実態とその対策
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タイトル |
PD3-14:酸分泌抑制薬がもたらす長期アスピリン関連消化管出血への影響
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演者 |
飽本 哲兵(日本医科大学消化器内科学) |
共同演者 |
三宅 一昌(日本医科大学消化器内科学), 坂本 長逸(日本医科大学消化器内科学) |
抄録 |
【目的】低用量アスピリン(LDA)による消化管出血のリスクは,従来型NSAIDsと同等またはそれ以上と考えられ,低用量アスピリン潰瘍の予防として酸分泌抑制薬を併用する機会が増えている.動物モデルでは,PPIの酸抑制が,腸内細菌叢の変化を介してNSAIDs関連小腸病変を増悪させることが示されている.そこで,酸分泌抑制薬がもたらす長期LDA関連上部・下部消化管出血への影響について検討した.【方法】対象はLDAを服薬する当院の虚血性心疾患患者.出血関連症状は,吐下血または1.5g/dL<の貧血進行とし,心臓カテーテル検査後3年間に施行した内視鏡検査から消化管出血性病変を抽出した.【成績】対象は,538例,平均年齢67.4歳.24人(4.5%)に上部出血性病変:消化性潰瘍(17人),胃癌(6人),逆流性食道炎(1人)および食道潰瘍(1人),一方,18人(3.3%)に下部出血性病変:大腸癌5人,出血性直腸潰瘍と憩室が3人,痔核,潰瘍性大腸炎および回盲部潰瘍がそれぞれ2人,虚血性腸炎1人を認めた.上部および下部消化管出血群はいずれも非出血群と比べ,年齢,性別に有意差は認めなかった.単および多変量解析において,PPIとヒスタミンH2受容体拮抗薬(H2RA)は,上部消化管出血に対し予防的(それぞれOR:0.24;95%CI:0.06-1.06:p<0.06およびOR:0.23;95%CI:0.07-0.78;p<0.01)に作用したが,下部消化管出血に対してはPPIのみが独立した危険因子(OR:4.59;95%CI:1.75-12.1;p<0.01)であった.このPPIによる下部出血リスクは,サブ解析において70歳以上ではなく70歳未満においてのみ有意(p<0.01)であった.【結論】長期LDA服用者において,PPIまたはH2RAの併用は上部消化管出血に対し予防的に働くが,PPIは非高齢者における下部消化管出血のリスクを高める.PPI併用による下部消化管出血がもたらす貧血が,原疾患である心血管系疾患に与える悪影響が懸念される.さらに,PPIによる下部消化管出血顕在化の一方で,PPI非併用例では潜在する下部消化管疾患により注意が必要と思われた. |
索引用語 |
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