セッション情報 |
パネルディスカッション4
FDの亜分類と治療選択
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タイトル |
PD4-3:FDにおける病型分類と背景因子およびQOLの関係
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演者 |
大島 忠之(兵庫医科大学内科学上部消化管科) |
共同演者 |
池尾 光一(兵庫医科大学内科学上部消化管科), 三輪 洋人(兵庫医科大学内科学上部消化管科) |
抄録 |
【目的】慢性的な胃の痛みやもたれは,生活の質(QOL)を損ない,社会生産性に大きな影響を与えている.機能性ディスペプシア(FD)は,Rome III基準によって心窩部痛症候群(EPS)と食後愁訴症候群(PDS)に分類されているが,それぞれの病型あるいは,その合併に対して患者背景因子がどのように関っているかの検討は,これまでほとんど行われていない.そこで今回われわれは,FDの各病型における背景因子の検討を行った.【方法】全国の20-79歳の男女,一般成人を対象にインターネットを介して各年齢層,男女比は均等となるように2000人のRome III基準に準拠したディスペプシア(FD)有症状者の調査を行った.FD症状は心窩部痛症候群(EPS)と食後愁訴症候群(PDS)の主症状とその重複について調査した.主症状でEPS群とPDS群,あるいはEPS症状とPDS症状を合併群と非合併群に分けてディスペプシア症状の強さ,HAD尺度を用いた不安と抑うつ症状,喫煙,飲酒,BMI,SF-8を用いたQOL,ISI-Jを用いた不眠重症度,被虐待歴,医療機関受診行動について調査した.【成績】不適格回答者7人を除いた1993人で解析を行った.主訴によりEPS群とPDS群に分けた検討では,多変量解析でEPS群において有意にFD症状が強く,医療機関受診行動と相関を認めた.またEPS症状とPDS症状の合併群と非合併群検討では,多変量解析で合併群において医療機関受診行動,不安およびFD症状の強さが有意に相関し,SF-8によるQOLは身体的サマリースコア(PCS)とは有意に逆相関していた.不眠重症度,喫煙,飲酒,BMI,抑うつは影響を与えていなかった.【結論】EPSではFD症状が強く,EPSとPDSの合併には,不安,症状の強さおよびQOL(PCS)が関連していることが明らかとなった.またEPSおよびEPSとPDSの合併は,医療機関受診行動と関連があることが明らかとなった. |
索引用語 |
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