セッション情報 |
パネルディスカッション4
FDの亜分類と治療選択
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タイトル |
PD4-6:機能性ディスペプシアと早期慢性膵炎との関係性について
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演者 |
門阪 薫平(近畿大学医学部消化器内科) |
共同演者 |
北野 雅之(近畿大学医学部消化器内科), 工藤 正俊(近畿大学医学部消化器内科) |
抄録 |
【目的】超音波内視鏡(EUS)によって微細な膵実質,膵管の変化を捉えることが可能となり,慢性膵炎を早期の段階で診断できるようになった.そして2009年に慢性膵炎臨床診断基準において新たに早期慢性膵炎(ECP)が提唱され,ECPが機能性ディスペプシア(FD)として診断されていた可能性が考えられる.今回我々はFDと診断されたなかにECPが含まれている可能性を考え,後ろ向きに検討した.【方法】2009年4月から2012年6月までに血液検査,上部内視鏡検査,腹部エコー検査において異常所見を指摘できず,EUSを施行され早期慢性膵炎の画像所見を満たした432症例のうちRoma3の診断基準を満たした158例を対象とした.これらを早期慢性膵炎と確定した群(a)(105例)と確定しない群(b)(53例)に分類し,EUS早期慢性膵炎所見数を比較した.次にEUS早期慢性膵炎画像所見Lobularity with honeycombing(L with H),Lobularity without honeycombing(L without H),Hyperechoic foci without shadowing(Foci),Strands,Cysts,Dilated side branches(DSB),Hyperechoic MPD margin(MPD)の陽性率を比較検討した.また,(a)のうちで早期慢性膵炎と診断し治療介入した10例に対して,症状改善率と早期慢性膵炎所見数の変化を比較検討した.【結果】EUS早期慢性膵炎所見数は(a)3.76±0.22,(b)3.05±0.09となり早期慢性膵炎確診群は有意にEUS所見数が多かった(p<0.05).(a)群におけるL without H,Foci,およびStrandsの陽性率は(b)群と比較して有意に高値であった(p<0.001).次にカモスタットメシル酸塩またはパンクレリパーゼ投与にて治療加入された10症例のうち,症状が改善した症例は6例(60%)であり,EUS早期慢性膵炎所見数は4.30から2.75に減少した.【考察】FDと診断された症例に早期慢性膵炎が含まれている可能性が示唆された.FDの患者にEUSを施行し早期慢性膵炎が診断されれば,治療介入による症状改善が期待される. |
索引用語 |
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