セッション情報 パネルディスカッション4

FDの亜分類と治療選択

タイトル PD4-7:

機能性ディスペプシア(FD)の亜分類別の治療薬の変化と有用性

演者 植竹 智義(山梨大学医学部第1内科)
共同演者 大高 雅彦(山梨大学医学部第1内科), 榎本 信幸(山梨大学医学部第1内科)
抄録 【目的】2006年にFDは,RomeIIIでPDSとEPSに2分類された.Rome III診断の2009年以降のFDと,2006年にRome II診断のFDを,亜分類による治療薬の選択変化と治療効果について比較検討した.【方法】当院にて2009年6月から機能性消化管障害FGIDと診断された361例中,FD147例(FD2009)(PDS103例,EPS44例:M/F:59/88,Av.55.9歳),FD・IBSの合併例(FD/IBS)21例を対象とし,2006年のFD(FD2006)38症例(潰瘍症状型12例,運動不全型23例,非特異症状型3例:M/F:12/26,Av.61.5歳)を対照とした.1.内服薬選択と治療継続期間.2.効果評価の症状改善率.3.安全性評価の副作用発症率を検討した.4.2013年6月より採用されたアコチアミド(Aco.)の12例も解析した.【結果】1.FD2009の140例(95.2%)が内服治療を選択,7例(4.8%)が内服治療無しであった.PPI93例(63.3%:PDS53%EPS88%),H2RA15例(10.2%:PDS8%EPS18%),Prokinetics(Pro.)42例(37.4%:PDS63%EPS21%),精神安定剤30例(17.0%),漢方薬12例(8.2%),粘膜保護剤17例(11.6%)であり,PPI+Pro.は42例(28.6%)に処方された.FD2006では,PPI6例(15.8%),H2RA20例(52.6%),Pro.18例(48.4%),精神安定剤8例(17.0%),漢方薬2例(5.3%),粘膜保護剤14例(21.1%)であった.制酸剤比率(PPI/H2RA)は,0.3から6.2とPPIが有意に増加した.2.処方全体では,62.3%から78.9%と有意に(p<0.01)症状改善が上昇した.3.副作用は下痢・軟便など,12.7%から14.2%と増加したが,中止例は確認されなかった.4.Aco.処方された12例(M/F:5/7,平均年齢58.4歳)(他Pro.からAco.へ変更9例,追加3例)全てが内服継続中で,胃もたれなどのFD症状は26.6%に減少し,満足度は高かった.【結論】FDに対する治療選択は,PDSにPro.,EPSには現在ではPPIを軸にした制酸剤が選択されている.今後より複雑化社会を迎え増加するFDにも,Aco.などの治療選択も広がり,より良好なQOLが期待できるようになった.
索引用語