セッション情報 パネルディスカッション4

FDの亜分類と治療選択

タイトル PD4-8:

FDサブタイプと胃酸分泌抑制薬と運動改善薬の治療効果について

演者 大野 志乃(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科)
共同演者 知念 克哉(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科), 屋嘉比 康治(埼玉医科大学総合医療センター消化器・肝臓内科)
抄録 機能性ディスペプシア(FD)は,以前,潰瘍型と運動不全型に亜分類されていたが,RomeIIIでは食後愁訴症候群(PDS)と心窩部痛症候群(EPS)とに分類されている.演者らは1.FD症例(45例)をRomeIII診断基準に基づきPDSとEPSに亜分類してPPIと運動改善薬を投与してそれぞれの効果を比較した.2.さらにFD症58H例(PDSとEPSを含む)に対して無作為法にてH2-受容体拮抗薬単独投与と運動改善薬との併用に分けて治療を行い,心窩部痛と消化不良症状についての効果を比較した.方法 1.RomeIII診断基準に基づきPDSとEPS分類してPDF群には塩酸モサプリド(MOS)を,EPSにはオメプラゾール(OPZ)を投与し,1か月後の治療効果をGSRS質問紙にて評価した.2.次にFD症58例に対してファモチジン単独群(FA)とファモチジン+イトプリド併用群(F+I)にてそれぞれの症状の比較をGSRS質問紙にて検討した.結果:1の検討ではPDS群ではMOS投与にて消化不良症状は有意に改善したが,腹痛は改善しなかった.小項目では膨満感の改善が有意に認められた.さらにEPS群ではOPZ投与にて腹痛が改善し,消化不良症状の改善は有意ではなかった.小項目では胃痛と酸逆流感,空腹時痛が有意に改善した.2の検討ではFAとF+I群ともにGSRSの評価では上腹部痛と消化不良症状の改善を認めたが,2群を比較すると併用群において腹痛の改善が有意に大きかった.結論:酸分泌抑制薬は上腹部痛に有効で運動改善薬は消化不良症状に有効である.さらに胃運動改善薬の併用は酸分泌抑制薬単独投与よりより症状改善が期待できる.
索引用語