セッション情報 パネルディスカッション4

FDの亜分類と治療選択

タイトル PD4-9:

FDの亜分類による臨床的特徴とPPI治療への反応性についての検討(GERD研究会調査3より)

演者 中田 浩二(慈恵医科大学消化管外科)
共同演者 松橋 信行(NTT東日本関東病院・消化器内科), 樋口 和秀(大阪医科大学第二内科)
抄録 FDは心窩部痛症候群(EPS)と食後愁訴症候群(PDS)の2つの病型に分けられる.またFDでは心理的偏倚が病態を修飾することが知られている.しかしFDの亜分類による臨床的特徴やPPI治療への反応性については明らかにされていない.【目的】FDの亜分類による臨床的特徴およびPPI治療に対する反応性を明らかにすること.【方法】GERD委員会調査3へ参加の50施設を受診したGERD症状を有する患者に内視鏡検査と標準用量のPPIの4週間投与を行った.患者背景と投与前,2・4週後に質問票〔GERD-TEST(本試験用に策定した質問票),HADS(2週後は施行せず),SF-8〕による調査を行った.適格例290名のうちFD症状を合併した219名を解析対象とした.FDの亜分類〔(1)病型(EPS,PDS,併存),(2)不安・抑うつの強さ(正常,境界,異常)〕と患者背景,FD症状スコア,生活(食事,睡眠,身体活動,気分)への不満度,不安・抑うつ(病型のみ),QOLとの関連性およびPPI治療への反応性について比較検討した.治療反応性にはPPI治療後のFD症状残存率およびレスポンダ率(症状残存率50%>=)を用いた.【結果】(1)EPSに男性,ERDが多く認められた.併存では有意にFD症状スコアが高く,生活への不満度4項目,不安・抑うつ,精神的QOL(MCS)が不良であった.(2)異常群・境界群では有意にFD症状スコア,生活への不満度4項目,身体的QOL(PCS),MCSが不良であった.(1)(2)ともに症状残存率,レスポンダ率では各群間に差はみられなかった.【結論】FDの亜分類(病型,不安・抑うつの強さ)と患者の臨床像との間には有意な関連性がみられたが,PPI治療への反応性には影響を及ぼさなかった.
索引用語