セッション情報 パネルディスカッション4

FDの亜分類と治療選択

タイトル PD4-10:

機能性ディスペプシア(FD)に対する六君子湯の有効性(多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験)

演者 鈴木 秀和(慶應義塾大学消化器内科)
共同演者 松崎 潤太郎(慶應義塾大学消化器内科), 福嶋 康之(東京駅センタービルクリニック)
抄録 【目的】六君子湯はFD治療薬として有望視されているが,Rome III基準のFDでの大規模試験での有効性の検証はない.我々は,FDでの六君子湯の有用性を検証する多施設共同二重盲検無作為化プラセボ対照比較試験を実施し,FD亜分類(食後愁訴症候群(PDS),心窩部痛症候群(EPS))別効果も検討した.【方法】Rome III準拠のFD患者を無作為に六君子湯群(7.5 g/日),プラセボ群に割付け8週間治療した.一次評価項目は総症状消失率(ITT),二次評価項目は,各症状消失率(ITT),GSRSスコア低下率(PP),さらにFD亜分類別,実施医療機関規模別(病院/診療所)での総症状・各症状消失率(ITT)とした.【成績】2011年3月から2013年2月までに登録された247例をITT群(六君子湯群125例,プラセボ群122例),207例(六君子湯108例,プラセボ99例)をPP群として解析した.総症状消失率は,六君子湯群で33.6%と,プラセボ群の23.8%と比べ高かった(p=0.09).心窩部痛消失率は六君子湯群(44.0%)でプラセボ群(30.3%)より有意に高く(p=0.04),食後のもたれ感消失率は,六君子湯群(50.4%)でプラセボ群(37.7%)より高かったが(p=0.06),他の2症状やGSRSスコアは両群間に差はなかった.また,PDS単独群では,食後のもたれ感の消失率が六君子湯群(59.2%)でプラセボ群(27.0%)より有意に高かったが(p=0.004),他の症状やEPS単独群,PDS/EPSオーバーラップ群では,両群間に差はなかった.一方,診療所群では,心窩部痛消失率が六君子湯群(51.3%)でプラセボ群(25.0%)より有意に高く(p=0.03),食後のもたれ感消失率も,六君子湯群(61.5%)でプラセボ群(38.9%)より高かったが,他の症状や,病院群では両群間に差はなかった.【結論】六君子湯は,FD症状,とくに心窩部痛や食後のもたれ感を消失させ,特にEPSの合併のないPDSで食後のもたれ感を有意に消失させた.(UMIN000003954,厚生労働科研費医療技術実用化総合研究事業:H22-臨研推-一般-009)
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